YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.08 「隠す」発想が、心と身体をブスにする

「日焼けしちゃったから、長袖とパンツで隠してるの」とか「お腹が出ているから、ゆったりワンピースが便利なの!」なんて言っている方、いませんか? でも、その発想こそがブスの元凶。「隠そうとしないこと」が、今月のテーマです。

かくいう私も、隠したい時期がありました。高校生の頃は顔も身体もパンッと張ったおデブちゃんでしたし、モデル時代も自分の体型がコンプレックスでした。撮影のとき、モデルがずらりと並ぶ控え室で、ふと気づいたのです。「みんな、なんて堂々と脱いでいるんだろう!」と。何着も服を着るのですから、控え室のモデルたちは半裸状態が当たり前。素早く着替えるのも仕事のうちですから、みんな躊躇いもなく、バンバン脱いでいました。ところが、私は「この中で一番太っているのは私だわ…」とウジウジして、堂々と脱ぐことができなかったんです。その時の私は、自分の体型に満足していなかった――そして、ウジウジ隠そうとしている自分が心底恥ずかしかった。そう、身も心もブスだったんです。

そう気づいた時から、私のダイエット人生が始まりました。極端なダイエットに走って失敗したことも、もちろんあります。けれど、そのおかげで「自分に合った、無理のないボディメイク」について真剣に考えるようになりました。食事制限のような我慢もせず、ワークアウトもせず、ストレスなく暮らしながらボディラインを作ることができているのも、「隠すのをやめよう」と決めたからこそ。おかげで精神的にも、とてもヘルシーでハッピーになりました。それに、ボディラインが整うことで選ぶ洋服にも幅が出ますから、お洒落がぐんと楽しくなりました。

日本人には「臭いものにはフタ」という考え方がありますが、コンプレックスから目を背けていても、ひとつもいいことはありません。あなたがもしも自分の身体に満足していないのだとしたら、今すぐ努力を始めてください。脚がガサガサだからストッキングで隠す? 必要なのはそんな浅知恵ではなく、「素足でも格好いい」ツヤツヤな脚へと磨く努力です。ウエストが気になるから、ゆったりした服を選ぶ? それよりも、ウエストを引き締めてぴったりと美しい服を着こなす自分をイメージしましょう。コンプレックスを抱えたままブスな言い訳をして生きるのと、きちんと向き合って自分を磨くのと、どちらがいいでしょうか?――答えは明らかですよね。

「自分を磨く」メリットは、見た目が美しくなるだけではありません。気持ちがポジティブになり、周囲をも明るくします。コンプレックスに悩んで隠してばかりいる人は、マインドも内向き。そういう人は、仕事も「こなしている」「やらされている」姿勢になりがちです。けれど、自分を磨く努力をしている人は、自分だけでなく周囲の人にも仕事にも、あるいは家族にもきちんと向き合うことができます。ですから、心がブスになったりせず、生き生きと生活を楽しむことができるのです。私の例で言えば、隠してばかりのウジウジ期には、しょっちゅう痴漢にあっていました。気の弱さ、自信のなさが現れて舐められていたんですね。当時よりはるかにスタイルがよくなった現在、痴漢に合うことなんてまったくありません。自分を磨いているという自負があるから堂々と振る舞うし、それによって周囲の人々の自分を見る目が変わってきます。付き合う友人や恋愛相手、仕事の内容もどんどん面白くなってきました。ブスな言い訳をせず、隠さず、丁寧に自分を磨くこと。これは人生を楽しくする鉄則です