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Essay エッセイ

Vol.145 洗練された佇まいを導く8つのアイディア

みなさんが思う「佇まいの美しい人」ってどんな印象ですか? 透明感や清潔感が漂う人? それとも、おっとりとおしとやかな雰囲気の方ですか? 前回のエッセイで美しい佇まいについて触れていますが、今回はその佇まいの磨き方について、8つのアイディアとともにお話しさせていただきます。

佇まいの意味を調べてみると、「立っている様子」、「そのものの醸し出す雰囲気」とあります。佇まいとは、あえて何かをするのではなく、その人その人の個性や持ち味。その人の性格や人柄が表現された顔つきや体つきといった、見た目の特徴のことをさしています。私が担当させていただいている社員教育でも、第一印象の大切さから正しい姿勢やウォーキング、そして、立ち居振る舞いが重要視されていますが、姿勢や立ち居振る舞いの精度=佇まいの美しい人に近づくことになります。

美しい佇まい人を手に入れたいと願うなら、まず、何をおいても「清潔感」は備えておくべき。清潔感があることで初めて、「佇まい」というスタートラインに立てる、最重要ポイントでもあります。毎日のメイクや身嗜みはもちろん、指先やヘアスタイル、靴の状態に至るまで、細部まで管理ができていますか? また、健康な心と体でいることも、清潔感を語る上で大切なこと。ちなみに、清潔感のある人は、自分の体調などの自己管理が出来ている人が多く、むくみにくいという特徴も。

「マナーを身につけている」ことも、美しい佇まいには不可欠。「ありがとう」、「お願いします」がきちんと言える会話のマナー。約束したことや待ち合わせの時間を守る、自分より先の人に迷惑をかけてはならない、行動のマナー。その他、テーブルマナーやビジネスマナーなど、正しく身につけていますか? そちらに加えて、『こうすべきかな』と思い付いたことを実行にうつせる行動力も、私個人としてはマナーのひとつだと感じています。そこが行き届いている人は、カラダの躾もできているので、ボディメイクもしやすいタイプと言えます。さらに、このタイプは気配り、気遣い、気をつかうことができる方なので、相手のことを優先して、自分を犠牲にしやすいという落とし穴が。相手に尽くす意識を感じている人は、いつもの7割を心がけるとバランスが良くなります。

佇まいを語る上で「穏やかで静か」であることも必要。まず第一に、人の話を聞く。相手が話を続けられるように目を合わせ、話の内容に注意を払います。相手の話を遮ったり、人が話しているのに話し始めたりするのは言語道断。きちんと話しを聞いて受け入れ、その人が話し終わってから、自分の感想や意見を伝えることを守ってください。

それから、「ゆとり」がある毎日を送っているかどうかも、いま1度見直してほしいポイント。朝から夕方まで、スケジュールが目一杯入ってないとダメという方もいると思います。隙間なく入れた予定が滞りなく完了すると、この上ない達成感に包まれますが、スケジュールは詰め込まず、予定と予定の間に、余白と余裕のあるスケジューリングを心がけて。エレベーターや出入り口で、一緒になった方に「お先にどうぞ!」が言えるゆとりをもってください。毎日、予定をぎゅうぎゅう詰めにして、全くゆとりがない人は、動作に余裕がなく雑で、かたまる筋肉の持ち主。一方、日々の予定に余白があってゆったりとした人は、所作にも余裕があり、しなやかな筋肉になる傾向にあります。

また、「マナー」や「ゆとり」と重なる部分もありますが、「親切心」を持ち続けることも洗練した佇まいには重要。お礼の気持ちや謝罪は、すぐに伝えていますか?「お先にどうぞ」や「お手伝いします」を躊躇なく、丁寧に発することができていますか? 親切な人にさせていただく謙虚な心は、美しい佇まいに直結しています。そんな親切心を忘れない素直な人は、おだやかな呼吸が整いやすく、筋肉もほぐれやすいというメリットがあります。

どんなシーンにおいても、怒りや憤りといった気持ちをあらわにすると、後々後悔することが多いので、「怒らない」ことも佇まい改善アイディアのひとつ。自分の中に怒りが浮上したときは、その気持ちに一度蓋をして、心を閉じることが有効。特に怒りという気持ちは感情的になると、いいことが何ひとつないので、冷静になってからオープンハートのクセづけを。その後のフォローはいくらでもありますから! それから、苦手な人、嫌いな人と会うときは、常に『はじめまして』の方だと思って接すること。『この人は嫌な人』という苦手意識、固定概念をリセットすることが重要に。人は怒りの感情をもっていると、呼吸が安定せず、体がかたまりやすい。そして、口角まで下がっておブスな顔になるので、一刻も早く、その気持ちを手放せる努力を始めてください。

冷静な判断をするには、「落ち着いた」状態で脳と心を上手に使い分けることも有効。感じとった感情を脳で処理して、気持ちを落ち着かせることもトライしてほしいアクション。落ち着きのない人は、痩せやすいし、太りやすい。気持ちと同様に、アップダウンしやすい体型にも気を付けるべし!

それから、「良いものに触れる」ことも佇まいが磨かれる行動。同じ価格帯、同じレベルの味、同じ内装のレストランAとBがあったとき、どちらに入る? 私なら「キレイな人が店内に多くいる」お店です。キレイや素敵をたくさん眺めて、いいところを積極的に吸収することも行ってほしいですね。「いいものに触れる」というのは人を観察するだけじゃなく、素敵な空間に自分の身をおくこともさします。例えば、通常料金で映画を観るとき、音響設備のスペックが高い方のシアターを選ぶとか、デパートに足を運んだとき、上の階にあるインテリアやハイブランドのフロアを1周してから、目当てのコスメフロアや食品売り場に移動するとか、駅や会社までの道のりも、距離の近さで選ぶのではなく、美しい街並みやきれいな道を選ぶなど。目や耳、気持ちに触れるものが洗練されていくと、いつの間にか、自分の中になじんでいくものです。

毎日、何気なく行っている選択の中にも、コツコツと佇まいを美しく導くヒントが隠れていることがわかりましたよね。その選択の積み重ねが、あなたの佇まいの美醜を左右するので、日々のすべてに意識を向けながら、「この人、素敵な人」と、思わず振り向かれるような見返り美人を目指してください。