YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.105 同じ姿勢を続けないことが美ボディのカギ

私は以前、『日常力ボディメイク術』という本を上梓しました。著書の中でも特別なことは何もせず、日常のシーンを上手に利用して、ボディラインを整えることをおすすめしています。前回、紹介した基本姿勢も、日常生活の中でほんの少し意識するだけで、ボディメイクに役立てられるのです。今回は、その“日常力”を活用するべく、普段の姿勢に関して、気をつけたいポイントをお知らせします。それは、「同じ姿勢を続けないこと」です。

人間の体には、常に重力がかかり、重みが生じます。同じ姿勢をとり、体内の同じ部位で自分の体の重みを支え続けると、その部位の筋肉が酷使され、過剰に発達することになります。あくまでも体の重みを支えるのは、ごく一部の筋肉ではなく、体幹の中心にある、もっとも大きな骨格の背骨と骨盤です。

日常の姿勢は、自分では意識できない就寝時を除くと、主に座っているときと立っているとき、歩いているときの3パターンに分けられます。基本的に座りっぱなし、立ちっぱなし、歩きっぱなしという同じ姿勢でいることは避けたいもの。しかし、仕事中など、姿勢を容易に変えられないシーンも、多々あります。そこで、たとえ同じ姿勢であっても、細かい変化を加えていけばいいのです。

座りっぱなしのときなら、背骨と骨盤に体の重心を乗せた上で、少なくとも15分に1回は、立ち上がって用事をすませたり、お尻を一旦浮かせて座り直したりして、特定の筋肉を固めることなく、こまめに動かしましょう。15分以上、同じ姿勢でいると、洋服にシワがつきますよね。洋服にシワがよるということは、その下のお肉も同じような形状になっているはずです。洋服のシワの有無をひとつの目安にしてください。

もし椅子を選べるなら、やわらかくて体が沈むソファよりはテーブル席、テーブル席よりはカウンター席という風に、なるべく高さのある椅子に座ります。体が沈まない椅子のほうが背骨や骨盤もまっすぐに立った状態を保ちやすく、正しい骨格の位置で座りやすいのです。また、やわらかい椅子から硬い椅子に座り直したり、座布団を入れたり抜いたり、深く座ったり浅くかけたり、端に座ったりするなど、お尻の置かれている環境を少しずつ変えるのもいいでしょう。

このとき、上半身は必ず後頭部と肩甲骨、お尻がまっすぐ一直線になるようにします。ひざから下は、じっとしていたり、ひざを90度以下に曲げて縮こまった状態を続けていると、足を始めとする全身の血流がたちまち悪くなってしまいます。そこで、足指をグーパーしたり、足首を曲げ伸ばししたり、ひざの角度を広げたりして、まめに動かすようにしてください。

立ちっぱなしのときは、前回紹介した基本姿勢を保ちながら、体の重心を骨盤から上下にちょこちょこと動かすようにします。美脚の条件とは、股から股下3cm、股下3cmからひざの内側、ひざの内側からふくらはぎの内側、ふくらはぎの内側からかかとの間の4ヶ所に隙間があること。そこで、ひざをピンと伸ばしきらない程度に伸ばし、脚の隙間を空けたいところや、引き締めたいところに体の重心を置くようにしてください。重心を置く位置を上下にこまめに変えていくことで、内側の筋肉がまんべんなく使われて引き締まり、美脚も手に入れられるでしょう。

長時間の歩きっぱなしのときは、ほぼオーバーワークをしているため、よくも悪くも自分の体の使い方のクセが出やすいものです。自分が普段からよく使っている外側や前側に張り出している筋肉を使っていないか、注意してみてください。もし、太ももの前側や外側、ふくらはぎの外側の筋肉をしっかり固めて歩いているようなら、そこは太くなる一方です。まず、酷使した筋肉をリセットするために、一旦立ち止まり、力を抜いてリラックスします。そして、脚の内側や後ろ側の筋肉を意識して使い、脚の外側や前側の筋肉は、固めずに伸ばします。脚の前側の筋肉を使って、脚を振り上げて踏み出すのではなく、脚の内側にある内ももに体の重心を置きます。ほとんどの方は、前脚から踏み出していますが、「後ろの脚で蹴るから前に進める」ので、後ろの脚力を利用しましょう。1万歩をがむしゃらに歩くより、意識しながら1000歩を正しく歩いたほうが美脚にはずっと効果的です。

ぜひ、日常生活の中で、座ったとき、立ったとき、歩くときに「気づいたらやる」ように心がけてみてください。たったそれだけでも、ボディラインがよりよく変わっていくのが実感できるはずです。