YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.19 新しいことを知る。それは世界を広げること!

姿勢について、ボディについての知識や経験を皆さんにお教えするのが私の仕事です。けれど、私が「学ぶ側」に回ることもたくさんあります。ちょうど今も、そのまっただ中。というのも、歯列矯正にチャレンジ中なんです。

そもそものきっかけは、下の歯並びがここ数年でちょっと変わってきたこと。それまでは歯医者さんにも褒められるくらいに歯並びがよかったのですが、4年ほど前に「少しズレてきているかも」と気づきました。ただ、その時は講習会があり、メディア露出がぎっしりで、歯列矯正しようという勇気が出なかったんですね。ところが、ご縁があって矯正の大家にお目にかかる機会があり、「舌の置き方を知っていますか?」と聞かれたのです。姿勢については熟知している私でしたが、「正しい舌の位置」は思い至らなかった。聞けば、どうやら私は舌の位置が違っているため、自分の舌で歯を押してしまい、少しずつズレてきてしまったようなのです。

そこから俄然、興味が湧いてきました。これって勉強するいい機会じゃない? 「舌を大切にする」って発想がなかったけれど、やってみたら面白いかも……と。考えてみれば、生徒さんで歯の悩みを抱えている人も、矯正している人もたくさんいらっしゃいます。歯について、噛み合わせについて学び、かつ自分自身も体験するのは、生徒さんのためにもなります───こうと決めたら早いのは、自他ともに認める私の長所。有言実行が基本ですから「矯正、始めます!」と宣言し、2年の矯正をスタートさせました。

とはいえ、いざ始めてみるとわからないことだらけ。矯正を始めてすぐ「痛くないんですけど、大丈夫ですか?」とドクターに電話して笑われたりもしました。「姿勢矯正の大切さをご存知な山田先生だから、何とも思わないのですよ!」と。確かに痛みの感じ方は、人それぞれですよね。それだけでなく、「矯正で歯がぐらぐらすると、抜けませんか?」とも聞きました(歯茎や歯周組織と呼ばれる線維でつながっているから、そんな心配はないそう)。でも、わからないことを放置せず実直に聞いて教えていただくことで、やる気も出るし知識も広がるんですよね。かつて「こんな大人になって始めるのは、恥ずかしいかも」なんて思っていたんですが、今となってはそんなことを考えた自分が恥ずかしい。新しいチャレンジは何歳でしてもいいし、それによって習慣が変わったり新たな試みを始めたり、人から教えてもらったりと世界が広がるんです。

たとえば、矯正を始めた日にレストランで食事をしたら、いただいたチップスが装置と歯の隙間にはさまってしまいました。そうか、モノが挟まっちゃうのねとめげていても仕方ない。さっそくミキサーを買ってきて、朝はフルーツジュース生活にしてみました。流行の酵素ダイエット仲間入り……?(ダイエットはしたくないわ!)また、装置がついていることで滑舌が悪くなるので、前にも増してお腹から声を出すようにしました。呼吸量でカバーしていたら基礎代謝が上がったのか、少し痩せることができました。レストランを営む友人は、装置をつけてすぐの人でも食べやすい、柔らかい素材や調理法のメニューを考案してくれました。ね、いいこともたくさんあるでしょう?

学ぶことは楽しいし、そこで出会うハードルをどうクリアしようと考えるのも面白い。何歳であろうと、どんな立場であろうと、新しいチャレンジを諦めるなんてもったいない。姿勢も、キレイも、人生もチャレンジあるのみです。皆さん、一緒に頑張っていきましょう!