YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.144 カラダの違和感と佇まいの美しさの関係性

寒さで体が縮こまりそうな今日この頃……このエッセイのタイトルを目にして、背筋がスッと伸びましたか?(笑) 皆さんは、ご自身の今の身体をどれだけ理解できているでしょうか?「今日はいつもより腰が重いな……長時間のデスクワークでPCを使いすぎてるのかも。休憩も、合間のストレッチもできてないから、そうなるよね」など、その時々の身体の声を聞いて、答え合わせが出来ているでしょうか? ウォーキングとスタイルのアドバイザーとして、生徒さんのボディメイクをマネジメントさせていただく事も私の大切な仕事。皆さんの変化も含めて、身体から発せられるあらゆるサインを感じとることも、重要課題としています。生徒さんの心や行動は、顔つきや体つきにも表れるので、笑顔がトレードマークの方の表情がどんより沈んでいたら、「寝不足? 何かプライベートであったのかな?」と、顔や身体のご機嫌具合で判断。さらに、個々の体勢や表情に表れる不調は、その時々でどんどん指摘していきます。

実際には自分のちょっとした違いに、気がつかない人、気がつかないふりをして見逃している人がほとんどです。ふとした拍子に腰が痛くなったり、急に膝から痛みが走ったり、前ぶれもなく体重変化がやってきたり。日々、ちょっとした違和感って起こりますよね。そんなとき「平気平気、私もともと健康だから!」「全然大したことないわ!」「急に寒くなったからね〜」「頭痛は気圧のせい」と放置している人、多くいると思うのですが、皆さんはどうですか? その違和感を「私は大丈夫」や「忙しいから」、「気候のせい」などを理由にしていませんか? その不調を受け入れたくない『おブスな言い訳』をしていると、身体から発せられるサインに鈍感になっていき、結果、取り返しのつかないことに陥ることも……。

自分の身体に丁寧に向き合う人は、自らの不調サインを決して見逃さず、違和感に即対応できる人でもあります。「腰が重い」のなら、その場で軽くストレッチをしたり、帰宅後、入浴時間を長めにしたりと、こわばった腰周りを緩めるケアをプラス。また、「ひざが痛む」ときは、股関節からひざの向きの確認をはじめ、歩き方や靴の見直しができるといいですね。そして「頭痛」のときにも、全身のバランスは崩れているはず。重たい頭がカラダの一番上にあるのですから、真っ先に頭の位置の確認がマスト! まずは寝転がって後頭部、両肩、お尻、かかとが床に着くかをチェック。仰向け寝は、無理なく正しい姿勢になりやすいで、肩の上げ下ろしをするなどして、ベストな位置で首や肩の血行を促してあげることも大事。また、上半身から重さを感じる頭痛の時には、手や腕の柔軟性が足りない可能性も。ちょっとしたハンドマッサージをはじめ、肘や手首、指の関節周りの動かし方を変えてみるだけでも、改善されやすくなります。

自分に与えられた違和感を放っておかず、すぐに手当てをする。毎日、どれだけ手を加えるかによって、私が日々のレッスンでお伝えしている、いつでも準備ができているカラダ、いつでも整っている状態がやっと つくられるのです。

不調の原因を考えてセルフケアを重ねても、改善が見られないときは、迷わずクリニックなどで検査を! 状態が悪化する前にプロに診断してもらえば、大病を引き起こすこともなく、自分のメンタルも少しは安定しますよね。でも、万が一、体のSOSサインを見逃して大きな病気になったとしても、自分をリセットできる人生の大きな転換点が訪れていると思ってください。「はじめまして」の身体は……自分にとって大きな変化のタイミングでもあり、新しい自分を1からつくり直すことができるチャンスのとき。人生を再スタートできる=たくさんのお楽しみが待っていると、ポジティブにとらえた方がいいですよね。

今回のエッセイのテーマにしている「体の不調サインとの向き合い方」ですが、実は、自分の持ち物や住まいに対しても、同じことが言えるのです。

例えば、メイクが崩れているのに化粧直ししない人。髪の毛が乱れているのにクシを通さない人。スカートの裾がほつれたままの人。ニットに毛玉があってもそのまま放置して、その服を着ている人。自宅のフローリングの凹みを直さないでラグで隠す人。ソファの下やテレビの裏側の埃を放置する人。バッグやポーチの中がいつもごちゃごちゃな人……などなど。これらを放っておける人は、体の不調や違和感を見て見ないふりをする、もしくは、身体からの危険信号に気がつけない可能性が多いにあります! 身嗜み、洋服の毛玉やシワ、住まいの埃、乱雑なバッグを許容できる人には、どう繕っても清潔感を感じることはできません。毎日の生活に雑な部分が大きいと、その人の佇まいは確実にくすんでしまいます。逆に、お気に入りの洋服をお手入れしながら大切に着る人、また、こまめに掃除や断捨離をして、丁寧な暮らしをしている人は、体のちょっとした異変にも気がつけることが多く、佇まいにも大きな差が。どれだけ自分に、持ち物に、食事や暮らしという生活に手かけるかで、立ち居振る舞いは驚くほど変わってくるのです。

透明感と清潔感のある佇まいを手に入れるためにも、自分の体と向き合いたいですね。自分の体の声に耳を傾けながら、筋肉や身体の使い方、生き方すべてにおいて、しなやかにスマートに動ける人を目指していきましょう。