YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.104 すべての礎となる「基本姿勢」のコツ

私は姿勢やウォーキングの講師として、通常のマンツーマンレッスンや、企業研修、ブライダルウォーキング、講演会などでも、最初にお伝えしていることがあります。それは、基本の正しい姿勢です。というのも、ほとんどの人は、正しい姿勢を習ったことがありません。また、正しい姿勢を多少なりとも見聞きすることはあっても、詳しいやり方は知らない人が大半です。さらに今、自分がどんな姿勢をしているのか、把握できていない人もほとんど、と言っていいでしょう。そこで、今回は改めて正しい姿勢である基本姿勢について、ご紹介したいと思います。

最初にお伝えしているのは、壁を使った「壁基本姿勢」です。これなら初心者の方でも、比較的簡単に正しい姿勢に近づきます。まず、壁にぴったりと寄り添って立ちます。その際、かかととお尻、肩甲骨、後頭部の4点を壁に付け、一直線になるようにしましょう。もし、体が壁に付かない場合は、床などの平らな面にあお向けに寝転んで、自重でかかと、お尻、肩甲骨、後頭部の4点を付けてみてください。すると、重力のおかげで、体が自然に下に落ち、正しい接地面が意識できるようになります。

次に腰に手を入れ、拳が入る場合は、腰が反りすぎています。本来、手は開いた状態で入るくらいの隙間がベストです。腰が反りすぎている場合は、骨盤の恥骨を前に突き出すイメージで、骨盤の傾きを変えて、骨盤はまっすぐに立てましょう。

両肩は180度になるよう、開いて立ちます。いわゆる二の腕の力こぶにあたる上腕二頭筋を前に、二の腕の振り袖部分の上腕三頭筋を後ろに向けてください。

手首から先は、手のひらを体の側面に向け、親指と人差し指は前に、小指とひじは後ろに向けます。

体を動かす際は、胴体に四肢を縫い付けているテディベアのぬいぐるみをイメージしてみてください。首のつけ根や肩関節、股関節といった胴体に近い関節から動かすようにします。

列記した正しい姿勢を意識しながら、筋肉ではなく、骨格を重視することが大切です。病院や整体などで見かける、人体模型や人体模型図の骨格をイメージして、立つのもいいでしょう。

よくあるケースは、体を動かすときに、自分が使いやすい筋肉をがむしゃらに働かせることです。しかし、がむしゃらに筋肉を働かせ続けた結果、太ももやひざ下などの特定の筋肉が外側に張るなどのボディラインの崩れにもつながってしまいます。

骨格を重視すれば、背骨や骨盤といった大きな骨格に、筋肉が自然と寄り添う形になります。また、骨盤の上に、上半身をきちんと乗せやすくなるのです。

以上のことに気をつけて、正しい姿勢を意識してみてください。たとえば、移動中の電車や、エレベーターの壁にもたれて、「壁基本姿勢」を作ってみるのもおすすめです。また、信号待ちや、洋服を着たとき、鏡の前にいるときなども、正しい姿勢を心がけてみるといいでしょう。そうして、日常的に姿勢を意識するようになれば、自然と姿勢がよくなり、正しい姿勢が身に付くのです。

正しい姿勢を意識すると、すぐに人から「姿勢がいいね」と言われたり、洋服を着たときに見映えがよくなります。また、食事の際も、体からのサインを受け取りやすいため、満腹感が早めに得られるので、食べすぎも防げるのです。

さらに正しい姿勢が身に付けば、いつの間にかサイズダウンしていたり、肩こりや腰痛、便秘などの不調が改善されることもよくあります。姿勢を正すだけで、もらえる“おまけ”は意外に多いのです。

正しい姿勢は言わば一生モノで、美容や健康、ボディメイクの礎になります。ぜひ、この機会に身に付けて、役立ててください。