YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.02 呼吸すること。元気でいること。そこから始めましょう! March 2011

大変な災害が起きました。テレビを見ればいまだに胸を痛めずにはいられないシーンが続き、復興までどれくらいの時間が必要となるのか、見当もつきません。自分がいかに無力であるか、日々噛み締めています。おそらく、多くの方々も同じ気持ちなのではないでしょうか。

こんな時に――いいえ、こんな時だからこそ、すべての人にこう伝えたい。
「ゆっくりと、深く呼吸しましょう」と。
深く吸って、ゆっくりと吐く。まずは自分の体を備えること。これに尽きます。

なぜかって? あの震災からこのかた、私たちは心も体も緊張しっぱなしです。レッスンで生徒さんの体を見ているとわかるのですが、皆さん呼吸が浅くなり、体がガチガチに硬くなっている。聞いてみると眠りが浅くなっていたり、便秘で悩んでいたりとたくさんのトラブルを抱えています。
こんな状態でいいわけがありません。体がガチガチではいざという時に動けないし、頭もパニック状態になって考えられなくなります。呼吸が浅いから前かがみになり、ますますメンタルが弱くなる。前かがみになって、頭の重みで肩や首が凝って、さらに暗い気持ちになる……この悪循環から抜け出しましょう。

方法はいたって簡単。まずは横になりましょう。仰向けに寝た状態だと正しい姿勢になりやすく、腹式呼吸がラクにできます。次に、鼻からゆっくり息を吸いましょう。つま先から頭のてっぺんまで、酸素がすみずみに行き渡っているイメージです。お腹が膨らんだら、今度はゆっくりと口から吐きます。体の力を抜き、筋肉がすみずみまでリラックスしているイメージで。これを2回行います。さあ、どうでしょうか? 正しくて深い呼吸をするだけで、体も心も少しラクになったのがわかるのではないでしょうか。

深い呼吸が大切なのは、非常時でも同じこと。3月11日、地震警報が鳴ったときに私はまずゆっくりと呼吸をしました。阪神淡路大震災も経験していたので、「慌てて動いても危ないだけ」ということはよくわかっていたのです。

慌てずに正しい呼吸をすれば気持ちが落ち着き、「次に自分が何をすべきか」が冷静に判断できます。それに、余計な緊張がない体のほうが柔らかく、ものが落ちてくるといった事故の衝撃も和らぎます。どんな場面でも、まず深く呼吸をしてください。

今回の地震では、たくさんの方が被災されました。私のクライアントさんも、生徒さんやそのご家族も、悲しい思いをされている方がたくさんいらっしゃいます。程度の差はあれ私たちは全員が被災者ですし、そして同時に支援者でもあります。だからこそ、これから歩いていくためにも、支援していくためにも、きちんと体に向き合っていただきたい。その第一歩であり最も大切なのが「深い呼吸」なのです。