YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.06 「ストレッチ」にまつわる誤解

今回は、予告した「サイズが小さくなるストレッチ」をご紹介する前に、まずは「ストレッチとは何か?」についてのお話をします。というのも、皆さんストレッチについて勘違いをなさっているんですね。まずはその誤解を正し、プロが身体のどういったところをチェックするのか、ストレッチをどう位置づけているのかをご理解いただき、それから具体的なメソッドについてご紹介できればと思います。

ボディメイクのお仕事をするようになって、本当にたくさんの方の身体を拝見してきました。お受験を控えた幼稚園児から「ハイヒールが履きたいの」とおっしゃるおばあさま、それにプロのアスリートまで、私の生徒さんは本当に多岐にわたります。多くの方に接していると、その方が「すぐに結果が出る身体」なのか、それとも「実感するまでに少し時間が必要な身体」なのかというのが初対面でわかるようになります。

その方の身体のどこを見るのかというと、ポイントは3つ。1.バランス感覚(姿勢)、2.柔軟性(美)、3.筋肉量(健康)をチェックします。それぞれが均衡を保っていることが大切。たとえば筋肉トレーニングに励んでいて、体脂肪率が7%という方がいるとします。それだけ動いていればボディラインを整えるのは簡単そうと思われるのですが、実はバランス感覚や柔軟性がないとダメ。脂肪が少なくても、筋肉が硬くなっていたりバランス感覚が悪い方は、ボディメイクの結果を出すのに少し時間がかかるんです。ただ柔らかくて筋肉量が少ないという方も、太ってはいないけれどバランス感覚が悪いという方も、慎重に調整しなければなりません。

では、この3つのうちで、いずれが重要なのかといえば――私は「柔軟性」を最優先します。というのも、現代に生きる皆さんは、とにかく身体がカチコチになっているんです。外側の筋肉をガチガチに固めているから動きが悪く、ムダなお肉や脂肪を蓄えてしまっている。筋肉を柔らかくしなやかに整えることが優先課題になります。

一口に「筋肉を柔らかくする」と言っても、どのようにすればいいと思われますか? 簡単な方法の第1は、呼吸。ゆっくり、深く呼吸をすれば、身体は自然と緩んできます。第2の方法は、温めること。冬よりは夏のほうが身体はしなやかですし、お風呂上がりのほうが柔らかくなります。そして第3の方法が、ストレッチというわけです。

ストレッチというと「鍛える」「エクササイズ」と誤解していらっしゃる方がいまだに多いのですが、実はまったく逆。ストレッチの本質は「緩める」「伸ばす」にあります。余計な力を抜き、リラックスし、身体のムダをそぎ落とすためのもの。多忙でストレスの多い現代人にとって、激しいワークアウトよりもはるかに大切です。「疲れるエクササイズ」ではなく「気持ちいいストレッチ」を。一日に数分で済むのですから取り入れるのだって簡単ですし、お金もかかりません。身体もすっきりするし、負荷はかからないし、何より気持ちいい。どうでしょう、ストレッチへの見方が変わってきたのではないでしょうか?