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Essay エッセイ

Vol.101 体を無理なく変えるには「1mmずつの変化」が鉄則

皆さんは“やる気”と“気合い”、どのくらいお持ちですか? ハードワークにダイエット、エクササイズ…と、当たり前に目にする季節ですよね。今回は、山田流のちょっとずるいボディメイク術をお伝えします。

短期間で一気にやせると、あっという間にリバウンドしたり、逆に以前より太ってしまった経験がある方は、意外にいるのではないでしょうか。私たちの脳や体は、基本的に極端な変化を求めていないし、よくも悪くも現状を維持しようと務めます。つまり、脳や体に大きな刺激や変化を与えてしまうと、一時は改善しても、元のよくない状態に戻ろう、戻ろうとするのです。これが急激にやせると、一気にリバウンドしてしまう現象の原因です。

では、毎日、1mmの変化を加えるなら、どうでしょうか。些細な変化なら、意外と脳や体が変化していることに気づかないので、リバウンドをする危険が少ないのです。

たとえ1mmずつの変化でも、1年365日、毎日続けていれば、やがて大きな成果につながります。

私自身も10年前の著書に書いた食事量と比べると、今は3倍の量の食事を摂っています。毎日1mmずつの微少な変化を10年間、積み重ねてきた結果、体の軸となる体幹の筋肉をよりしっかり使えるようになり、筋肉量が増え、基礎代謝が上がって、3倍の量の食事を摂っても、太らない体に変わったのです。脳に頑張りを気づかれないようにして、自分の体をこっそりと操ってきた結果です。

脳と体から反発されることなく、着実に体を変えるには、脳や体が「変化していない」と勘違いする程度の微少な刺激が有効です。「普段の生活と何ら変わらない。特別なことは何もしていないし、歯磨きするのと一緒」と捉えられるくらいの頑張りでちょうどいいのです。

最初に生徒さんには、「筋肉の好物は、呼吸をすることと温めること」とお伝えしています。特に真面目で頑張り屋さんの人ほど、無呼吸で体や筋肉をいじめていることが多いのです。

アスリートでもない限り、ボディメイクに過度な気合いや根性は、まったく必要ありません。むしろ、気合いで体を動かすと、必要のない体の外側の筋肉を過剰に使ってしまったり、呼吸を止めてしまい、変に筋肉を固めてしまうので、悪影響を及ぼしやすいのです。

気合いたっぷりで、どうしてもやりたがりの方は、心身ともにリラックスさせる、副交感神経を優位にすることが大切です。こり固まった筋肉を温めてほぐし、副交感神経を優位にするのに、うってつけの方法は、やはりお風呂に浸かること。1日の疲れは、その日のうちに解消するのが鉄則です。

40度くらいまでの比較的ぬるめのお湯に浸かることで、副交感神経が優位になり、心身ともにリラックスできて、こり固まっていた筋肉もほぐれ、やわらかくなります。さらに、体臭が変わったり、発汗しやすくなったり、肌の調子もよくなったりするでしょう。また、入浴後は、体温が自然に下がるので、寝つきがよくなります。眠りの質がよくなれば、疲れも持ち越さずに、スッキリ解消できるのです。

目覚めが快適でない方や、病気がちな方は、気合いや根性で体がオーバーワークしています。その日のうちに疲れをリセットできる生活習慣を1mmだけ心がけてみてください。翌日、元気いっぱいで起きられたら、やっとボディメイクのスタートラインに立てるのですから。

姿勢に関しては、頭が前に出がちな人なら、気がついたときに頭を後ろに引くようにしてもらいます。ほんの少し意識することにより、骨格へのアプローチから、ボディラインがスッキリするほか、顔色はよくなり、頭痛や肩こり、腰痛、便秘といった不調が消えて、薬を飲まなくてすむ体に近づいていくのです。1mmの頑張りにより、こうした体の変化は、誰にでも感じられるようになります。

まずは、真剣に体の声に耳を傾け、今の体に必要な生活習慣を1mmずつ改善しましょう。自分の脳をコントロールすることで、体に気づかせないほどのさりげない歩みを積み重ねてみてください。