YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.107 日常生活で気をつけていること 「循環、動く」編

私が常日頃、日常生活で気をつけていることは、「循環させる」、「動く」、「備える」、「パフォーマンスの質」の4点です。今回と次回の2回に渡って、これらのポイントの具体例を挙げながら、ご紹介したいと思います。

まず、「循環させる」ことは、自分の行動や体、環境、仕事など、すべてにおいて必要です。何ごとも「入れて出す」、もしくは「出して入れる」という行程を必ず踏んでいるのです。

たとえば、環境面であれば、こまめに部屋の窓を開け、風通しをよくして、空気を入れ換えします。ただ窓を開けて、風通しをよくするだけで、部屋の空気が澱むことを防いで、気分をリフレッシュできるのです。

仕事においても、どのようにして行うか話し合い、実際に遂行して、結果を評価し、改善するという流れは、一様に「循環させる」ことではないでしょうか。

また、普段の行動であれば、バッグや化粧ポーチなどの持ち物も、帰宅したら、必ず中身を全部出しています。そして、次に出かける際、必要なものを必要なぶんだけ入れるようにしているのです。こうすると、気分が変わるし、身だしなみもおのずと整います。いつもムダなものは取り除かれ、必要なものしか入っていない“シンプルな状態”をキープできるのです。

体についても同様で、「出して入れる」ことが大前提です。たとえば、お風呂に浸かってデトックスすることも大事です。

筋肉であれば、普段使ってこり固まった部分をストレッチやマッサージをしてほぐし、循環させることが肝心。生徒さんたちには、いつもストレッチとマッサージを同時に行うことをおすすめしています。

たとえば、立った姿勢で片足ずつ真後ろに持ち上げるストレッチをしながら、片手か両手でヒップにクリームを塗り込みつつ、マッサージをするのです。片脚を後ろに上げたときに、体がふらつくようなら、片手は壁につき、安定させます。これを10回ほどくり返すことで、お腹や背中、お尻、脚全体などの広範囲の筋肉をストレッチしながら、リンパの流れを促し、ヒップアップ効果も望めるのです。ヒップのマッサージをしながら、クリームを塗り込むことで、乾燥からくる脂肪線の予防にも役立ちます。こうして体内を上手く循環させることで、きれいなボディラインになっていくのです。

ちなみに体に関して、よくやりがちな間違いは、さまざまな美容法や健康法、ダイエットなどを次々と試して、「入れ続けてしまう」こと。入れるばかりでは、体はよりよい状態を保てません。必ず、「出して入れる」という「循環」を意識して、体作りをしていきましょう。

次に日常で意識しているのは「動く」こと。何と言っても、動かない限り、エネルギーは消費できません。また、同じ動くなら、「ていねいに」「きれいに」動くことがポイントです。

たとえば、雑に動くと、筋肉が強く縮んで、関節を傷めやすいです。また、筋肉量が少ない人が思いきり振りきって動くと、筋肉が伸びきってしまいます。反対に「ていねいに」動くと、筋肉がきちんと伸び縮みして、しなやかになっていくのです。

「きれいに」動くことも大切で、体の軸となる背骨や骨盤に沿った中心の筋肉を使うと、重心が安定。いつもお伝えしているとおり、体の外側の筋肉を使うと、太くなる一方です。体の内側を意識していると、太ももやふくらはぎが外に張り出して太くなることもあり得ません。雑な動きをすると、すべてがボディラインに出てしまうので、注意が必要です。

私自身は、「動く」機会を増やすため、ヘアメイクなどの出かける準備や、掃除、パソコン操作などはすべて立って行っています。座り込んでしまわず、立つことで、フットワークが軽くなるし、姿勢を意識し、正せる機会が増えるためです。床からソファ、テーブル席、カウンター席の順に、地面と心臓が近ければ近いほど、姿勢や体の重心は崩れやすくなります。座りっぱなしで正しい姿勢を保つことは、なかなか難しいのです。しかし、立っていれば、全身で姿勢を意識し、重心をちょこちょこ変えることは容易にできます。

また、ストレッチ代わりに、自宅のあちこちにある鏡の前に移動して、メイクをしています。単に「動く」機会が増えるだけでなく、さまざまな光の中でメイクを確認したり、メイクと全身とのバランスを見られるのでおすすめです。

また、その日1日のバランスを考えて、歩くことも大切にしています。歩くことが多かった日は、あえてエスカレーターやエレベーターを使い、電車の中では座ります。反対に座ることが多かった日は、後ろ脚で蹴って前に進む歩き方で、務めて歩いて移動するようにしています。また、歩き続けて、疲れてしまったときは、筋肉痛にならないためにも、脚の関節をゆるめて、筋肉が固まらないように少しリラックスしながら、ブラブラさせることを心がけています。

どうせ「動く」のなら、必要なところをきちんと動かしながらほぐして、夜には快適に眠れるように備えておきましょう。