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Essay エッセイ

Vol.108 日常生活で気をつけていること 「備える、パフォーマンスの質」編

前回、私が日常生活で気をつけていることは、「循環させる」、「動く」、「備える」、「パフォーマンスの質」の4つだとお伝えしました。今回は後半の「備える」、「パフォーマンスの質」について、実例を交えながら、ご紹介したいと思います。

まず、「備える」、つまり準備することは、言うまでもなく、非常に大切です。後述のパフォーマンスの質にも、大きく関わってきます。準備不足のときは、何をするにしても、失敗しやすいし、自分でもなかなか自信が持てないもの。そこで、日常生活の中でも、務めて準備を怠らないようにしています。

私は目覚まし時計のアラームを起床時間とその15分前の2パターンをセットしています。1度目のアラームで目覚めたら、あお向けに寝た姿勢で、骨盤を左右平行にして、恥骨は上に向けます。両ひざは曲げて、左右の外側に倒し、股関節を開きます。両脚はいわゆるカエルのような形にし、ひざの重みによって、股関節をしっかり開いて伸ばしながら、2度目の起床時間のアラームが鳴るまで、15分間寝転んでいます。睡眠時は、その日の疲れ具合によって、寝返りを打ったり、寝姿勢が変わるもの。そこで、今日1日、すっきりといいスタートを切るためにも、上半身と下半身を繋ぐ重要な部位である股関節をストレッチしながら、前のめりな姿勢や、体の偏り、こわばりを一旦リセットしています。

他にも、急な天候の変化や、気分の変化に対応するため、前日に洋服から靴まで3パターンのコーディネートを準備しています。実際に朝、洋服を着てみると、「思っていたより寒い」「何だか違う」と感じることがあります。そんなときにひとつのアイテムを取り替えても、なかなかしっくりきません。結局、洋服のみならず、靴や下着、ストッキングまで、すべてを取り替えることも多々。結果的に、コーディネートのやり直しで、朝の貴重な時間の多くを費やしてしまうのです。これは私の経験則によるものですが、3パターン用意しておけば、必ずいずれかと合致するので、あわてずにすみます。

こうして、身の回りのことも、前もって準備しておけば、心身ともにゆとりが生まれ、何ごとにも自信を持って臨めるのです。

もうひとつ、パフォーマンスの質の向上にも繋がる、備えの一端が挨拶です。私は挨拶をするときは、いつでも100%の発声、滑舌、笑顔を意識するようにしています。運動やスポーツをする前のウォーミングアップと同じで、挨拶は本題の話をする前のリハーサルだと捉えています。挨拶をしっかりしておくと、その後のプレゼンや発表のパフォーマンスも自然と上がるのです。

最後の「パフォーマンスの質」に関しては、何をするにしても、そのパフォーマンスは、自分の力が一番発揮できているか、自分の価値を上げられているかを常に自分自身に問いかけています。挨拶をするにしても、お礼の手紙を出すにしても、ひとつひとつの所作や行動について、最高のパフォーマンスができているか考えるのです。

たとえば、チームスポーツなら、何も考えずに「何となく」相手にボールを受け渡すようなことはあり得ません。それとまったく同じで、相手に一番いい状態で受け取ってもらえるように、一番いいパフォーマンスを繰り出す必要があるのです。

以前のエッセイでも「まぁ、いっか」という惰性の選択をし続けると、「まぁ、いっか」の体つきになるとお伝えしました。やはり、「まぁ、いっか」という漫然としたパフォーマンスでは、「まぁ、いっか」の結果しか生まないのです。何ごともせっかくやるのなら、やっつけではもったいない! いつも一番いい形で相手に手渡せるよう、ていねいなパフォーマンスを心がけています。