先月グランド ハイアット 東京で開催しましたウォーキングレッスン、たくさんの方にお越しいただきありがとうございました。定員の関係でご参加いただけなかった方々に、深くお詫びを申し上げます。次の開催は6月19日(火曜)になりますので、その時にまたお目にかかれることを楽しみにしております。今回は、そんなレッスンから感じたことをお話させていただきます。
レッスンでは、グランド ハイアット 東京のチャペルのバージンロードを歩きます。 ハイヒールで参加とお伝えしてありましたから、皆さんそれは素敵な靴でお越しくださいました。けれど、皆さんが歩く音を聞いているとなんだか違和感がある。コツコツコツ、という小気味いいハイヒールの音とはちょっと違うんですね。その理由は「靴のサイズ」にあります。いらしてくださった方々の8割は、ご自分の足よりも大きいサイズを履いているんです。足に合わない靴で歩けば、歩き方はおかしくなります。当然、歩く音も変わってきてしまうんですね。
では、「ゆるい靴」を履くとどうなるのか、みてみましょう。靴の中で足が動いてしまうので、反射的に足指を縮めます。もちろん意識はしていないのですが、不安定さを解消するために、足指で靴をつかんでいるんですね。足指が縮こまるから、歩いているときにしっかり地面を蹴ることができません。足で身体を前に押し出す力が弱まるので、膝は曲がり、ぽっくりぽっくりと背中を丸めながら歩いてしまうわけです。
大きなサイズの靴をはく弊害は、見た目だけではありません。足指をぎゅっと縮めて歩いているのですから、足先の筋肉がほとんど使えていないに等しい。ご存知のように血液は心臓から全身に送り出されますから、下半身から心臓へと戻すためにはポンプ機能の助けが必要になります。足の筋肉を動かせないとそういった循環が滞り、血液もリンパも溜まってしまうのです。
靴のサイズが大きい方にその理由をうかがうと、「足がむくみやすいから、ゆとりのあるものを選ぶんです」とおっしゃいます。でも、それは大きな勘違い。大きめサイズを選んでしまうからこそ、足がむくんでしまうのです。靴を売っている販売員さんでも案外そういった仕組みをご存知なく「夕方に靴を買いましょう」なんておっしゃいますよね。けれど、むくんだ状態で靴を買うのは、同時にむくんだ足も買っているようなもの。ジャストフィットの靴を買い、むくまない努力をすること。それが、足のためにも靴のためにもベストな選択です。
とはいえ、皆さん「ジャストフィットの靴」の感覚をお持ちでないこともしばしば。靴売り場の店員さんもご存知ないことがあるので、「中で足が動かないこと」を目安に、中敷きでの調整をおすすめしています。先日のレッスンのときは「足に合った靴」という感覚を知っていただくため、ティッシュを用意しました。土踏まずや足指のつけ根に仕込んでいただくと、靴が足にぴたっとフィットします。「靴が足に吸い付くみたいで歩きやすい!」と好評で、用意したティッシュがあっという間に……! 一度「ジャストフィットする靴」の快適さを知ってしまえばしめたもの。ヒールだけではありません。ローファーでもスニーカーでも、自分の足に寄り添ってくれる靴に「育てる」こと。ちょっとした工夫で靴はもっと歩きやすくなります。そして、足がますます美しくなるのです。