YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.121 自分が変わることで得られた、ご褒美レベルの人間関係

前回のエッセイでは、『10年周期』で起こる私の節目についてお話をしましたので、今回は10年かけて苦手な方を克服することに成功したお話をしようと思います。

誰でも『この人、苦手だな』という、ちょっとだけ呼吸が止まるような存在やお付き合いってありますよね。「山田先生は、苦手な方はいないんですよね?」と、質問されることが多々あります。私には苦手と感じる人は皆無?「とんでもない! 私だって感情のある人間ですから、ストレスに感じる事も人もいますよ(笑)」と正直にお答えしています。

私は『好き、大好き』と思える方と、レッスンやお仕事をご一緒するようにしていますので、いつも元気で笑顔が多いイメージでしょう。特に、通常のマンツーマンレッスンは、生徒さんとの時間が私にとって宝物! そして、ブライダルレッスンは、幸せあふれる新郎新婦さまと一緒に過ごせる、HAPPY空間ですから、日々、沢山の感動をいただいております。その他、社員教育や講演会などなど……『はじめまして!』の方々が沢山集まると、ごく稀に、健康や姿勢を大切する意識を持ち合わせていない方ともご一緒することがあります。そうなると少しだけ勝手が違ってくることも。「正しい、美しい、健康」に興味がなく、志やマインドが少し異なると、限られた時間の中でその全てを理解していただくことは、エネルギーを使います。ですが、それをお伝えするのが私の仕事ですから、そうも言っていられないのが現状です。

私にとって苦手な人を具体的に表現するとしたら、美意識を持っていないや健康に気を使わないではなく、『そこにいない人の悪口を言う』、『でも…だけど…を連発する』方です。やる気のある人達の前で、マイナスの空気を振り撒かれるのが、あまり好きではないのです。嫌な人、苦手な人に出くわしたら、『話さない』『考えない』『視界に入れない』という回避術もありますが、仕事柄、そうもいかない場合も。とはいえ、お相手の受け入れられない言動があっても、そんな素振りは全く見せません。いつもながらの笑顔キープ以上!の山田です。先生は生徒さんには常にフラットで、平等でなくては!と心がけています。(と言っても、賢いお相手には何となく伝わりますが)。

生徒さんからも「職場の上司や先輩が苦手」と、悩みを持ち掛けられるのですが、よくアドバイスするのが、「とにかく丁寧な挨拶を続ける!」です。『おはようございます』、『お疲れ様です』はなんて便利な言葉なのでしょう。このいつでも使える魔法の挨拶で、嫌いな相手への声出しトレーニング、笑顔で伝えるという名の顔の筋肉運動、笑筋を鍛えるエクササイズとして意識をシフトすればいいのです。この意識、最強ですよ! 普段より意識的に口角上げられますし、しかも、お給料発生中にエクササイズもできて一石二鳥。

次に提案しているのが褒め言葉です。『今日もお肌がキレイですよね!』、お肌がキレイではない人には『目元とマスクのバランスがいいですね!』とか(笑)。素っ気ない方には『いつもスムーズにお仕事されていて勉強になります!』、『お手伝い出来ることがありましたらお声かけください』と、脳を使って好意的な言葉をかけるのです。褒め上手=ポジティブシンキングの証! これが身に着くと、自分自身が落ち込んでいる時も、いつの間にか上を向けるのが早くなるというメリットもあるんですよ。

そして、私自身はこの10年、苦手な方に親切にする!というミッションを掲げて、努力を積み重ねてきました。自分の為にと考え直し、笑顔で声かけとポジティブ脳の訓練。最初の頃は、嫌だし、苦手だし、面倒だし、場合によっては心折れそうになる事も……。そんな葛藤と闘いながら、コツコツ積み重ねていくこと10年……。自分の心が強くなるにつれて、不思議と苦手と思う相手が少なくなってきたのです。気がつかないうちに自分自身が成長して、少々の事ではブレない私になっていたようです。

一方、あらゆる事で褒め続けたり、その方を良い人に仕立てた言葉を重ねたことで、お相手も「常にいい人でいないといけない」と思ってくださるようになって……この変化、想定通りです! 苦手な人にこそ、積極的に親切訓練&笑顔エクササイズ、これ本当に有効ですよ。

生徒さん達とこのようなお話をしていると、すぐに変われる人もいれば、何年も変われない人も。プライドが高ければ高いほど、それが邪魔をして変化が出来なかったり。変わることを望まない人、意識を変えると楽に生きられることに気づけない人も。まず行って欲しいのが、全てにおいて自分自身を客観視してみること。人の心を動かす素晴らしい能力や新しい魅力に気づけるチャンスになると思うんです。ずっと同じように、頑なに過ごすのは大変なこと。「変わることは凄い勇気」、「真面目な人ほど変われない」と思うのです。ですが、苦手な相手がいるのなら、まずは自分から変わること。コツコツ積み重ねた努力は必ず報われ、ちゃんと応えてくれるのです!

指導を始めた20数年前には悪戦苦闘していたこの私が、ここ10年で変われたのです。

前回から続く、10年にまつわるエッセイ。「わからない事をわからない!」と言える勇気を持てた私は、自分が変われたからこそ、好きではなかったお相手との素晴らしい関係性を開けたのです。その苦手を克服できた喜びを、私の大切で大好きな生徒さんにも届きますように。