YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.136 自己印象をフレキシブルに使い分ける方法

姿勢やウォーキングレッスンのマンツーマン指導、そして企業の立ち居振る舞い講師などの仕事もいただいております。どのシーンでも大切にしているのは、生徒さんと心を通わせて、二人三脚でポジティブに前進していくという想い。個々の生徒さんにとって必要なこと、伝えたいことが正しく届くように、様々な工夫を凝らしています。中でも、社員教育は山田式セオリーをぎゅっと凝縮させています。通常の社員教育は90〜120分で行いますが、20分間同じ姿勢をしていると筋肉が硬まってしまうので、私の講義は座学だけで終わるということはありません。そして、人は集中できる時間が限られているので、「20分間を1区切り」としてアクティブな講義を行っています。具体的には、自己紹介をはじめ、脳内の発表など、あらゆる発言と発声で体や性格も確認。また、立ってその場で足踏みしながらそれぞれの姿勢チェックはマスト。2人ひと組みでお互いのウォーキング動画を撮ることで見えてくるコミュニケーション力も確認しつつ、常に体を動かして筋肉に記憶させるような講義も取り入れています。

さらに、「20分間を1区切り」の講義中、相手の心に刺さること、大切なことは10分間に1度は言うように決めています。そのときどきで必要とあれば、自己演出もきっちり使い分けて、人の心に残るような積極的な言動も。フォーマルな言葉遣いだけではなく、記憶に残りやすいキャッチーなフレーズを使うこともあれば、大切なワードの前には、言葉の間をとり、相手に興味をひかせることも。また、ドスのきいた低い声で会話を締めると説得力が増しますから、腹式呼吸を意識して厚みのある声を出しながら抑揚をつけることは重要。同じ内容の話しでも、軽やかで和やかな高音の声で聞く場合と、安定感のある低音で聞く内容とでは、相手が受け取る印象が大きく違ってくるのです。このように、講義中どのアプローチが最高最善かを瞬時に見極めることが、今の仕事ではとても大切なスキルとなっています。

自己演出方法としては声色の変化のほかに、話し方の速度にも気を付けています。例えば、ボディメイクを指導するときは、生徒さんにできるだけ親近感をもってもらえるよう、リズミカルに会話したり、フレンドリーな言葉を選ぶようにします。一方、講演などの改まったシーンでの話し方は、内容をしっかりと構築し、言葉選びはもちろん、滑舌よくハッキリと話しています。皆さんの理解度を丁寧に確認しながら、重要な内容のトークを進められるのは、相手あるからこそ出来るライブ感ですよね。

そして、自己演出で最も差が出るのが、見た目の印象。女性は特に、髪を下ろすかまとめるか、また、パンツスタイルか、スカートをはくのかで、印象が驚くほど変わります。これは、みなさんの仕事やプライベートにも多いに活用してほしいセオリーで、自分が今日着たい服を着るのではなく、TPPO (タイム・プレイス・パーソン・オケージョン)を考慮し、さらには、相手にどう見られたいかを考えて服を選ぶという意識を、今日から加えてみてください。

社外で大事なプレゼンがある日、パートナーのお母さまに会う日など……シーンによって、相手にどう見られたいかが全く変わりますよね。このようなとき、皆さんはどんな服装で出かけますか? 正解はいろいろありますが、自分なりに考えた結果、現地に着いて「明らかな場違い」を感じてしまった経験などはないでしょうか? そのような時は、まずは髪型を変えてみてください。前髪のあるなしだけで、全体のバランスが一変します。そのほかには、アクセサリーをプラス、マイナスする。マスクを色つきや柄ものから白いものに変える(その逆パターンもあります)と、印象がガラッと変わるので場違いを払拭できる可能性が高まります。そういった小物でアレンジをしても、まだ、その場になじめないと感じるときは、身振り手振りをできるだけコンパクトに、おとなしくしてみたり、ゆったりとした動きや口調で品格をプラスしたり。逆に、丁寧な言葉使いをフランクにすることが有効な場合もありますよね。

どんな場面や場所でも浮かず、その場になじむための自己演出セオリー……これを身につけていることで、想定外のどんなシーンに出くわしても、慌てず焦らず、何事もなかった顔で乗り越えられるはずです。普段からどんなシーンでも使い分けられる、しなりのあるボディと柔軟性のある思考を持ち合わせた女性って素敵ですよね。

さあ、今日の皆さんは全てのバランス……何をどう使い分けますか?