YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.137 花嫁がやるべき最重要タスクと落とし穴

長かった感染症対策の日々から、ようやく日常を取り戻しつつあり、様々なイベントも日を追うごとに、活気を帯びてきていますね。大きなイベントの代表といえばブライダル。ドレスウォークや立ち居振る舞いのアドバイザーとして、各ブライダル業界勤務の方に向けた指導も再開しました。また、私が専属アドバイザーを務めるグランド ハイアット 東京では、挙式や披露宴でのウォーキング、立ち居振る舞いを新郎新婦へ直接サポートしています。ここ最近、全国の関係者達の話で、いくつか思うことがあるので、今回のエッセイはそちらをテーマにしてみました。プレ花嫁のみなさま、今回のエッセイは永久保存版ですので、内容をしっかりとチェックしてくださいね。

多くの花嫁が人生最良の日に向けてダイエットをしますが、挙式前の1か月で急激にサイズダウンをする、追い込みダイエット派が本当に多いですよね。まあ花嫁に限らず、追い込みたいタイプの方は本当に多く、誰にでも当てはまることですが……。通常マンツーマンレッスンに通っている一般の方やモデル部の生徒さんには、常々話をしていることがあります。それは、『もしもあなたが花嫁だったら、痩せる目標日は挙式1週間前ではなく、1か月以上前までが絶対条件』その理由はいくつもあるのです。まず第1にほっそりした顔、体と筋肉を自分自身になじませる時間が必要です。例えば、体重50kgの人がひと月で−5kgのダイエットに成功したとします。「ひと月で5kgも減ったー♪」と喜んでばかりはいられないのですよ。これまでの体重の約10%を急に落とすと、当然のことながら、体のバランスが大きく変わってきます。体が軽くなった分、体幹はもちろん、頭の位置や歩き方も別人になったかのように変化。さらに、サイズダウンしても、人によっては胸だけが小さくなる想定外の部分痩せをしたり、それ以外にも、お腹周りが細くなったり、デコルテ周りがげっそりするなど、痩せ方は人それぞれ。運命の1着として選んだ、晴れの日に着用するウェディングドレスも、理想の体に完璧にフィットさせることを考えると、余裕を持ってフィッティング期間が取れた方がいいですよね。痩身エステに通って、駆け込みダイエットに成功したものの、挙式当日までにドレスのサイズ変更が出来ないということも多々あります。そうなると、体とドレスの隙間をタオルで埋めるという悲劇が、想像する以上に起こっているようですね。せっかく、時間とお金と労力を重ねて痩せたのに、”タオルでかさ増し”なんて悲しすぎますよ。

しかも、無理を重ねた急激なダイエットは、姿勢や歩き方の変化だけじゃなく、体調にも大きな弊害を及ぼします。急激なダイエットにチャレンジした方は、おそらく理解できると思いますが、はじめまして!の体内は、その変化についていくのがやっとなのです。当然の事ながら免疫力が低下しやすくなり、風邪をひきやすくなったり、疲労感が抜けない、体力が続かないなど、様々な症状が現れやすくなります。想像してみてください、そんな中、本番当日を迎え、着慣れない重たいドレスを纏った上に、緊張感がMAXで体調を崩し、親族紹介に参加できなかったという花嫁も。さらには、披露宴のクライマックス、両親への手紙を読むタイミングで、花嫁が体調不良で中座なんていうこともあるそうです。また、急激に痩せてしまったせいで、筋肉と体のバランスが崩れて前々日に転倒。その結果足を骨折し、ギブスのままで挙式当日を迎えた花嫁もいたそうです。こんな失敗をしないためにも、すべての花嫁には挙式1か月前にはダイエットを完了させて、新しい体と仲良くなっていてほしいのです!

これは誰にでも言えることですが、ただやみくもに痩せればいいのではなく、自分にとってベストな体重、ボディラインの把握が大切ですよね。花嫁は特に、挙式当日、自分が最も輝ける体型になるためのセルフプロデュース力も必要。挙式日のタイムスケジュールから逆算して、起床時間や顔のむくみがスッキリする時間の確認は出来ていますか? ちなみに私は、素の山田友美から、先生・山田友美になるまでの所要時間は起きてから3時間です。皆さんは、ベストなお顔やボディになるまでどのくらいでしょう。

まだまだありますよ!自分自身の把握もマストですが、そこから先の確認も忘れないで!着慣れないブライダルインナーを前々から身に付けておくなど、日々の生活パターンを晴れの日モードにシフトにすることも重要なタスクのひとつ。こんな風に運命の日の予行演習をしておくことで、ストレスなく、トラブルなく、6時間以上とも言われる挙式&披露宴当日を楽しむことができるのです。

それから、プレ花嫁期間は、できるだけ自分と向き合って、ストレスやトラブルと無縁の暮らしを目指してほしいというのが、山田からの願いです。ストレスが溜まると、イライラはつきものですよね。彼に八つ当たりというおブスな言動は、絶対に引き寄せたくないこと。ストレス発散によるダイエットのリバウンドや肌あれも無きにしもあらず。また、少しでも億劫に感じることは、自分から手放してしまう事もひとつ。挙式にまつわる沢山のやる事リスト、どのくらいあるかご存知ですか?人に任せられるものは、その道のエキスパートにお願いする事が最短ルートだと思っています。例えば、席次表や手渡し用のギフト、ウェルカムボードやスクリーンのロゴなどありますよね。元々、DIYが好きでその作業を楽しめる方はいいと思いますが、少しでも面倒くさいと感じてしまうなら、プロにお願いすることがベストです。時間も負担もかからず、素晴らしいクオリティが手に入ります。「ストレスを回避出来た!お願いして本当によかった!」と話すカップルを、何十組、何百組も見ています。もちろん、予算のこともあるので、自分たちにとってベストな選択は何か、ブライダルフェアに実際に足を運んでプロたちの意見を聞いてみるのもおすすめです。

自分たちホストはもちろん、迎えた多くのゲストにも喜ばれ、祝福される最良の1日を送ることができるのは、自分たちが信じた裏方チームがいてくださるからこそ。そのことを忘れずに、ゆとりと楽しいプレ花嫁期間を過ごせますように……心から願っております。