YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.139 いい笑顔を引き出す「運命の1音」

マンツーマンウォーキングレッスンの生徒さんやブライダルのご新婦から「先生、私、どうやって笑顔を作ればいいのかわからなくて……」、「私のどんな顔が1番いい表情なのかわからないんです」という相談をよく受けます。もちろん、日々幸せ一杯でいつでも明るい笑顔の方はそんな心配は無用ですね!

皆さんはご自身のベストな表情やキメ顔、把握できていますか? コロナ禍前もこのような相談はありましたが、マスクが日常化してからは、笑顔や表情に関するご相談が倍増しているのです。インスタなどのSNSで自撮りなどをアップしている生徒さんには、このお悩みは、ほぼ皆無なのですが、2年半以上も毎日マスクをして、顔の下半分を隠し、対面で話す機会も減ると、さすがに表情筋も衰えて口角も下がりぎみに。きちんと笑っているつもりでも、自分が理想とする「いい笑顔」ができない人がほとんどです。

私がモデルだった頃は、満面の笑みや自然な笑顔ができないモデルは、価値がないとされている時代でした。今では当たり前になったモデルの個性を評価して起用するのではなく、企業に合った笑顔ができるモデルを選ぶことがスタンダードな時代。そういう流れもあって、当時のモデル事務所のトレーナーさんに、「あなたの表情はブス!」、「笑えないなら帰れ!」と厳しい洗礼を受けたこともありました。強い言葉で否定された私は、トレーナーに認められ、クライアントに選んでもらうために、「自然な笑顔づくり」について独自の練習方法を編み出すことに。まずは全身ミラーの前で後頭部、肩甲骨、お尻、かかとが一直線になる、壁基本姿勢で「あ、い、う、え、お」を発声。このとき、口の開け方によって、顎周りやフェイスラインがすっきりして見える母音が必ずあるので、鏡としっかり向かい合い、それを導き出します。そして、その母音が「え」だったとしたら、「え、け、せ、て、ね、へ、め、え、れ、え」をリピート。そうすることで、自分のフェイスラインが1番美しく見える「1音」が判明します。

ちなみに私は、エラが張っていて肩幅が狭いのがコンプレックスだったので、口を横に開く「え」より、口を縦に開ける母音「あ」の方が、フェイスラインがすっきりして見えました。そこから、「あ、か、さ、た、な、は、ま、や、ら、わ」を、全身、バストアップ、コンパクトという見え方の違う、それぞれの鏡の前で何度も繰り返し、「ら」を発したときに、フェイスラインや全身バランスがとてもキレイに見えることにたどりつきました。私にとってのチャーミングな笑顔=「ら」の口ということが確定!

さらに今度は、口の開け具合を調整。歯が思いっきり見える方がいいのか、それとも見えない方がいいのか。見える方がよかった場合、上の歯だけ見せるのか、上下の歯は何本ずつ見える方が好バランスなのか……などを何度もトライ。今はスマートフォンで簡単に自分の写真や動画が撮れるので、「あ、い、う、え、お」という50音や、ABC~などを発して、口の開きや舌の置き方、歯のバランスを考察しながら、自撮りしてみると「運命の1音」が一目瞭然に。

ちなみに、丸顔さんの場合「あ」と「お」は丸みが強調されるのでNG。また、顔立ちだけじゃなく、顔のパーツによってもベストな1音は変わると感じていて、ぽってり唇さんの場合「う」と「お」だと、口元を主張しすぎるので避けたい母音。逆に上唇が薄い人は「い」と「え」だと、上唇の存在が余計に薄くなってしまいます。

「運命の1音」×口の開き具合が決まったら、あとは自分の瞳に合ったアイメイク、表情を感じるアイメイクと組み合わせれば、いい笑顔の完成は目前! 理想の口の開き方は練習しないと身につかないものなので、マスクをしていても常に口角は上げておく、姿勢を正して滑舌よく丁寧にしゃべるなど、日頃から表情筋を動かす意識を持つことが大事。マスクを外すその時に、とびきり明るい表情で好印象を与えるためにも、体だけじゃなく、日頃から顔の筋肉もしっかりと鍛えて、いい表情筋を育ててくださいね。