YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.14 モデル時代よりスタイルがよくなった理由とは?

かつて、モデルとして四苦八苦していたことがあります。以前のエッセイでもお話しましたが、食事制限のダイエットもいろいろトライしましたし、ランニングにハマったこともあります。今のような美ボディのための理論こそ確立していませんでしたが、スタイルをよくするために必死でした。

けれど面白いことに、その頃よりも今のほうがスタイルがぐんとよくなっているのです。もちろん当時よりも年齢を重ねているわけですが、体重が減っただけでなく、カラダのメリハリはむしろアップしました。痩せたといっても、ただカラダが薄くなり、貧弱になったのでは意味がありませんよね。私の場合は逆。お腹はぺたんと締まりましたが、バストはサイズアップ。しかも、CカップからGカップになったのですから、モデル時代の友人たちからは「どういうこと?」と驚かれます。今回と次号では、このような「スタイルアップ」のためのボディメイクの方法をお話します。

ムリなダイエットせずに体型を整えるというと、多くの方が「補整下着では?」と思われるのではないでしょうか。とんでもない。私のボディメイクは「補整下着をやめること」からスタートしました。モデル時代は少しでもキレイな体型になりたくて、ガードルや補整下着を手放せませんでした。

けれど、ある日「そういえば、補整下着をつけるようになってから便秘ばかりしている……!」と気づいたのです。お腹がぽっこりしているけれど、これはもしかしてガスが溜まっているのではないかしら。そういえば、この間貧血で倒れたけれど、血液を調べたら鉄分不足ではなかった……もしかして、血行不良による酸欠?? カラダがこんなに冷えるようになったのも、最近のことだし……。考えれば考えるほど、補整下着をつけるようになってからのほうが体調が悪い。体調だけではありません。下着をつけているときはいいのですが、脱いだときのカラダのラインは前より悪くなっている。思い切って、ガードルや補整下着の類いを一切やめてみることにしました。

それから数週間、気づけば便秘はすっきりと解消し、あんなに気になっていた冷えも、しばしばの貧血もなくなりました。そもそも、食事はそれなりに気を使い、せっせと運動をしているのですから、下剤が必要なレベルの便秘になるほうがおかしい。締め付けるストッキングやガードルから解放されたことで、腸の活動が正常になったのです。自分では気づいていませんでしたが、「肌がキレイになった」と褒められることが増え、荒れていたんだな……と思い知らされたのもこの頃。

便秘が冷えが改善されると、カラダからは面白いように余分な脂肪が落ち始めました。数ヶ月で気にしていた体重が理想の数字になり、腰周りやヒップの下、腕や脇の肉までもすっきり整ってきました。ボディをキレイに見せるための補整下着がボディラインを崩し、しかも体調まで崩していたわけです。

カラダについてじっくり勉強し、それこそ自らのカラダを実験台にして理論を構築した現在なら、当時の愚を説明できます。カラダを締め付けることで、血液やリンパの流れが滞っていたこと。そのために酸素や栄養素が行き渡らなくなり、カラダが冷えていたこと。その結果として老廃物や脂肪が蓄積していたこと。ローストビーフを作るとき、旨味や肉汁、脂を逃がさないようにタコ糸でぎゅっと縛りますよね。あれと同じことを自分のカラダでやっていたわけです。補整下着だけではありません。ピタピタのジーンズも、ぴったりしたパンツも体型を崩す原因になります。もちろんジーンズなどは大きめサイズでは格好悪いですから、脱いだときに跡がついているのは許容範囲。生徒さんには、「脱いでから5分たっても跡が残っていたら、きつすぎると判断して」とお伝えしています。

こういうわけで、私のウォーキングレッスンや研修では、まず皆さんの下着をチェックします。美意識が高い女性の中には、高価な補整下着をつけている方が少なくありません。「補整下着を脱いで、健康で美しいボディを作りましょう」とお伝えすると、びっくりされることもあります。けれど、私の生徒さんで、補整下着をやめて後悔している人はひとりもいません。バストのサイズはそのままなのに、ウエストや腰まわりがすっきりした。補整下着をつけているときよりも、ヒップが上向きになった……など、そのメリットを享受している方々ばかりです。

ちなみに、「補整下着をやめる」といっても、捨ててしまう必要はないのでご安心を。たとえばパーティでタイトなドレスを着るときなど、ここぞというときには短時間の活用もOK。長時間にわたって補整下着をつけっぱなしにしたり、週に何度も頼るというのが問題なだけ。見た目を整えるために、健康まで害してしまっては意味がありませんから、ほどほどに留めてください。

次回は、冒頭でご紹介したCカップをGカップにした「ブラジャーの選び方、つけ方」のエピソードをお話したいと思います。整ったボディラインで、美しく楽しい夏を迎えてください!