YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.16 「寝るだけ」で、歪みや脂肪にさよなら!

現代女性は、皆さんお洒落で若々しい。きちんとメイクやヘアを整え、こなれたファッションを楽しんでいらっしゃいます。実年齢よりもはるかに若く、お洒落が上手。

けれど、そういった方でもふとした瞬間に年齢が出てしまうことがあります。そう、それが「後ろ姿」。メイクもできず表情も作れる、無防備なままの背中は、その人の年齢や生活をそのまま物語ってしまいます。くるりときびすを返した瞬間、背中が丸かったりお肉がついていたり、肩が落ちていたりすると、どんなにキレイな女性でも老けて見えてしまうもの。そして、毎日鏡でチェックしていない分、気づかないうちにお肉がついてしまうのも背中というパーツの怖いところです。ちなみに私が行っているブライダルウォーキングレッスンでは、横や斜め45度後ろから撮られる写真のことも意識して指導します。なぜならばその角度では埋もれた肩甲骨が露わになるので「こんなはずではない」と、その角度の写真を捨ててしまうケースが少なくないからです。

とはいえ、私たちの生活のほとんどは「前」に比重があります。仕事でも家事でも「前屈みの姿勢」になることがほとんど。パソコンだって読書だって、洗い物だってすべて身体の前で行いますよね。知らず知らずのうちに頭も肩も前に落ち、猫背になってしまいます。「私はどうかしら」と思った方は、手鏡(なければコンパクトの鏡などでもOK)で簡単にチェックできるのでお試しを。姿見などの大きな鏡を背にして立ち、手もとの鏡と合わせ鏡にしてのぞいてみましょう。無防備な後ろ姿は、思っていたよりもふっくらしていたり、肩甲骨が埋もれていたり、老け込んだ印象だったりしませんか?

では、この「前重心」な生活をリセットするにはどうしたらいいのか? 後ろに重心を置く姿勢はないのだろうか? そんな発想から生まれたのが、今回のテーマである「寝るだけ」です。あおむけに寝れば、自ずと重心は後ろにきますよね。二足歩行の人間にとって、「あおむけに寝る」のが唯一の「後ろ重心」のチャンスなのです。あおむけに寝れば、力を入れなくても自分の重みで背筋が伸びますから、前傾姿勢が自然と正しい位置にリセットされるのです。せっかくゆっくりするならばいっそのこと、筋肉も自然の重力に任せて正しくダウンさせてあげたいですよね。

やり方は簡単。あおむけに寝ころがり、背中側に体重がかかっていることを意識するだけ。膝やつま先はぴんと伸ばしきらずに、がに股でOK。腰痛持ちの方はがに股のまま、ラクな位置で膝を立てるとベスト。このまま全身から力を抜き、深く呼吸してリラックスしてください。たったこれだけ。ほんの2〜3分行うと、自分がいかに前傾になっていたかがわかります。重力で体が沈むので、上がっていた肩が下がったり、呼吸が深くなるのがわかりませんか?

あおむけ寝のメリットは、姿勢が正されるだけではありません。筋肉がリラックスした姿勢で休むため、滞っていた血液やリンパの流れが促され、むくみやコリを解消することにもつながります。実際に、こまめにあおむけ寝を取り入れて姿勢を意識するようになった生徒さんの中には、1年ほどで背中の贅肉がすっきりと落ち、10キロ以上減った方もたくさんいらっしゃいます。それほどまでに、間違った姿勢で余計な脂肪やお肉を溜め込んでいたということですよね。

また、座りっぱなしはスタイルだけでなく、疲れやすさにも影響しています。だらりと崩れた座り姿勢は、頭も前に傾きやすくなりますよね。ちなみに、頭が横から見たとき5センチ前に落ちていると、骨盤に約2倍の負担がかかるそう。ですから私は家では椅子に座らず、立って生活をしていることがほとんど。「疲れませんか」と聞かれることがよくわりますが、むしろ逆なのです。ゆったり休む時には中途半端に座らず、大の字に寝転がってリセットしています。デスクワークが多いという方は、ぜひ「あおむけ寝」を試してみてください。