YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.25 何事も、“ちょっとの余裕”が山田流の基本。

マンツーマンのウォーキングレッスンでは、ときどきユニークなキャンペーンを行います。つい最近行ったのは、“持ち物を減らそうキャンペーン”。いらした生徒さんに、自身の荷物をチェックしていただくのです。今日レッスンに来るまでに使ったものは? どうしても必要なものは? バッグにいれっぱなしのものは? ……チェックしていただくと、不必要なものを持ち歩いているケースが少なくないのです。そういった方は概してバッグがぱんぱんになっています。それに対し、荷物がバッグの6~8割に留まっている方は、見た目にもキレイですしバッグの中も整理されています。よく“腹八分目”と言いますが、8割の法則はさまざまなところに応用できるんですね。

たとえば、クローゼットの中身について考えてみましょう。たくさん詰め込んでいると奥のものが取り出せず、風通しも悪いですよね。奥に入っているものがシワになったり、クローゼットのこもった空気のにおいがついてしまったり。レザーやシルクが気づかないうちに傷んだり、色あせしてしまった経験のある方もいらっしゃるのでは? キッチンで、冷蔵庫の奥や食品庫から賞味期限切れの調味料が出てきた、というケースも同様です。たくさんの食品を詰め込んでいると手前のものばかりに目がいき、奥のものは使わずじまい。それではお気に入りのお洋服もせっかくの食品も、ムダになるばかりです。

いずれも、防ぐのは簡単なこと。ぎゅうぎゅうにせず、すべてのものが見えていればいつでも空気循環していますよね。せめて“八分”を意識していれば、きちんと中のものも管理できるようになります。

“八分”が難しいという人には、「いちばん奥のものを出してくる」キャンペーンをおすすめします。いちばん奥にある靴箱でも、しまい込んだジュエリーでも、あるいは冷蔵庫のいちばん奥にある食品でもかまいません。そうやって風通しをよくすると、こもった空気が回り始め、環境がよくなります。

考えてみれば、体や肌だって同じこと。肌の調子が悪いときも、あれこれ塗りたくってみたりいじったりせず、シンプルなケアに徹したほうが本来の力を取り戻せたりします。また、食事も腹八分のほうが内臓がうまく働きやすい環境になり、きちんと消化して排出することができるもの。食べ過ぎを重ねてしまったりトゥーマッチだと便秘になったり、むくみや吹き出物といったトラブルを招いてしまっています。

だから、何事も“八分”が私の基本。それが本来の実力を効率よく発揮でき、ムダも生じないベストバランスなのです。