YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.26 「ミスが多い」と感じるあなたへ。

スケジュールをダブルブッキングしてしまった。きちんとしているつもりが、仕事上でケアレスミスをしてしまった。そんなとき、「疲れているのかしら」なんてやり過ごしていませんか? でも、もしそういったミスを繰り返すとしたら、自分のやり方を見直すべきとき。今回は、ちょっとしたミスをなくすための「考え方のコツ」のお話です。

毎日のレッスンにセミナー、講演、それに取材対応など私の活動は多岐にわたります。お付き合いする方も多方面にわたりますが、私はスケジュール管理をどなたか他の人にお任せしたことがありません。しばしば「自分でそれだけのスケジュール管理をするのは大変でしょう?」と聞かれるのですが、大丈夫。そのコツは「頭の余白」にあります。

たとえば、考えなければいけないことが山積しているとき、私はよく歩きます。仕事場まで30分、次のセミナー会場まで30分、といった具合に歩きます(もちろんヒールで!)。ウォーキングが体にいいというのもありますが、この「歩いている時間」は、頭を整理するのにぴったりの時間なのです。

もしも頭の中がぱんぱんになってウォーキングの時間では整理しきれなかったら? その場合は自分のやるべきことが容量オーバーになっているので、スケジュールや気になっている課題、とりとめのないアイディアまで、頭の中にあるものをすべてノートに書き出します

なぜなら、違うことをあれもこれもとこなそうとすると頭の中でごちゃまぜになってしまい、その結果、自分でパニックを起こしてしまうから。それよりも、まずは書き出すこと。大変そうに聞こえますが、作業としては意外に簡単で、あっという間に終わります。書き出すことで、頭の中にある未整理のものをひとつひとつ、別のものとして分けて考えることができるようになるのです。

こうやって頭の中をからっぽにすると、自分がすべきことの優先順位やお伝えしたいことが、自ずとクリアになってきます。絡まってしまった何本ものネックレスが、空間や隙間を作るとするりとほどけるようなイメージですね。考えがまとまらないときは、とにかく頭の中身をすべて、一度外に出してしまうこと。そうすると頭の中に空白ができて、それだけでケアレスミスが驚くほどなくなります。

このやり方の基本は、実は前回のエッセイと同様。先月、クローゼットや冷蔵庫の中身は“八分”に留めておくとうまく循環し、ムダがなくなるというお話をさせていただきました。これと同じように、頭にも“余白”が必要なのです。いろいろ詰め込んでしまうと働きが悪くなるという現象は、頭にも当てはまるのです。それでは、どんなにいいアイディアも、せっかく取ったアポイントもムダになりかねません。データでいっぱいのパソコンの動作が遅くなるように、頭だって中身がぎゅうぎゅうでは動きが鈍くなり、ミスを起こします。

まずは考えに集中する時間をもつこと、頭をからっぽにすること。“八分”のルールを守って風通しをよくすれば、頭だって体だって、本来の実力を発揮し始めます