YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.28 夏のおしゃれの“膝肉”警報!

すっかり暑くなり、皆さん夏のおしゃれを満喫している頃ではないでしょうか。腕や脚を露出するシーズンですから、テレビや雑誌でボディについて特集が組まれたり、そのご相談を受けることもしばしばです。今回はそんな中で気になったご相談――――“膝上のプニプニ肉”についてのお話です。

ミニスカートを履いたり水着になったときに、膝上がぽっこりしているという方、意外に多いんですね。太ったから? いえいえ、とんでもない。メタボ検診で「肥満」と警告を受けた方ならともかく、標準レベルであれば膝にプニプニ肉がつくことはありません。年齢を重ねたから? それも間違い。確かに筋力が衰え肌のハリも失われてはきますが、それだけで膝まわりがぽっこりすることはありません。年齢のせいではなく、もっと大きな原因がほかにあるのです。

それは、「膝を伸ばしすぎている」ということ。膝をぴんと伸ばし、軟骨をつぶすようにして立ったり歩いたりしているんですね。本来は柔らかくあるべき関節が、ぎゅっと固められているんです。それを助けるために、サポートしにきている「もものお肉」が、膝上のプニプニの正体なんです。

では、なんで膝を伸ばしてしまうのか、メカニズムを見てみましょう。私たちは、地面や床の上を立ったり歩いたりしていますよね。硬い地面の上に立てば圧力がかかりますし、歩けば衝撃も加わります。日常のことですから意識していませんが、重力のある環境で生きていれば、体には当然負荷がかかります。

そういった「立つ」「歩く」ときのストレスを吸収してくれるのが、柔らかいパーツ、つまり筋肉と関節なのです。足裏の筋肉は最高のクッションですし、よく動く足首も、しなやかなふくらはぎも、私たちが立ったり歩いたりするときの衝撃緩和剤になってくれるのです。

ところが残念ながら、日本人には足首が硬い人が多いのです。カツカツ音を立てて歩いている人は、足首が硬くてきちんと地面を蹴れていないケースがほとんどです(こういったときハイヒールは悪役にされがちですが、問題は靴のかかとではなく、それを履いている人の「足の使い方」にあります。私のレッスンを受けている生徒さんは、皆さんハイヒールでも上手に関節を動かしています!)。足首の動きが悪いと、歩くときの衝撃は、柔らかいところを求めて上へ上へと伝わっていきます。このとき、膝関節がしなやかな状態であればいいのですが、多くの方は膝をぴんと固めて、外側重心になってしまっているのです。

膝がぴんと張って硬い場合は、クッションとしての役割を果たしてくれません。また、膝を固めていると膝軟骨に圧力がかかる=つぶしているような状態になるため、大変危険です。「すらりと伸びた脚」なんて言い方をするので、脚はぴんと張っているほうがいいと思われがちですが、実は違います。膝はほどほどに緩み、柔らかくしなやかなほうが、クッション緩和剤として、また上下をつなぐジョイント部分としていい働きをしてくれます。

では、そんな膝がガチガチに固められていた場合、どうなるか。それを緩和するために活用されているのが、もものお肉なんです。体というのは面白いもので、どこか不具合があるとほかの部分で補おうとするんですね。たとえば肩こりも、姿勢が悪くて前に落ちてしまう頭を支えるべく、首や肩の筋肉が頑張っているから生じるもの。それと同じように、足首や膝が固まっている場合は、もものお肉がサポート側に回るんですね。太ったからとか年齢ゆえではなく、「脚の使い方」「重心のかけ方」の間違いで膝肉が生まれているんです。

ですから、まずは内側重心を心がけること。それから、マッサージも膝肉対策には有効です。あぐらをかいた状態で、たるんだお肉を外側から内側へと、手でさするように動かすこと。これだけでも膝肉はだいぶすっきりします。

ちなみに、私のパーソナルレッスンを受けている生徒さんの中には、膝肉で悩んでいる人はひとりもいません。正しく歩けていれば外側重心になりませんから、膝を固めて頑張る必要がないんですね。膝肉が気になるという方は、歩き方をチェックしてみましょう。内ももに力を集めるようにして歩ければ、次第に膝肉は減ってきますよ。