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Essay エッセイ

Vol.29 一足早い自由研究。お題は“睡眠で痩せる”!

いよいよ本格的な夏に突入しましたが、みなさま体調など崩していらっしゃいませんでしょうか? 夏バテなど寄せつけないヘルシーな毎日を送るために、私は「夏の自由研究」(笑)に取りかかりました。お題はずばり「睡眠!」私のレッスンに通ってくれている生徒さん30人が参加してくれ、実に面白い結果となりました。

実験はいたってシンプルで、けれどハードルが高いものでした。なぜなら、「毎日9時間寝る」を実践するのですから。さあ、そんな時間をどう確保するのか……生徒さんたちはかなり苦労したようです。普段から7〜8時間睡眠の私にとっても、9時間を確保するのは至難の業。しかも、「1ヵ月続けましょう!」と宣言したのですから、最初は大変でした。

でも、「絶対に9時間眠るんだ!」と決めてしまうと、人間やはり知恵を絞るんですね。私は以前、5分空き時間があればストレッチをしていましたが、「早く寝るんだから、いま請求書をおこそう」など、仕事をこまめにこなしていくクセがつきました。意外に、生活のあちこちにムダがあるんですよね。こうやって時間をちょこちょこ活用すると、溜まっているタスクが面白いようになくなっていくんです。だらだらとテレビを見てしまう時間も、グズグズと悩んでいる時間もなくなりました。

とはいえ、「さあ、9時間眠ろう!」と準備を整えても、いきなりは眠れないもの。そんなときは焦らず、「横になっていたらOK」とマイルールを決めてのんびりしていました。その代わりに頑張ったのが、昼間はせっせと動く、ということ。体を疲れさせるために、ぼんやり休んでいる時間を極力減らしたんですね。たとえばメールひとつでも、「あとでまとめて返事しよう」と先延ばしにしがちなんです。それを「取り急ぎ、お返事です」というかたちで即レスするだけでも、ぼんやりタイムが減ります。あらゆることを「あとでまとめて」から「今すぐやる」に変えると頭も体もいい感じに疲れ、頭のなかまでスッキリするんですね。気になる案件は片っ端から片付け、せっせと動く毎日を続けるうちに、9時間しっかり眠れるようになりました。

おかげでお肌はつるつるに。化粧水だけのケアでもまったく問題なく過ごすことができ、「睡眠こそ最高の美容液」という真実を身をもって実感しました。

生徒さんたちも努力を重ね、8〜9時間眠る時間を捻出してくれました。その結果、驚くべき変化があったのです。9時間睡眠を実践してから、たくさんの生徒さんたちが痩せ始めたのです。いちばん変化が大きかった方は、1ヵ月半でなんと4キロ減! その理由は、「体の声を聞けるようになったこと」にあります。

「体の声を聞く」とは、どういうことか、ご説明しましょう。たとえば「早く寝るから」と意識していると、私のようにお酒が好きな人でも、我慢しているという感じはなく飲む量が減ります。というのも、早寝のクセがつくと「あ、お酒はこれくらいのほうが、気持ちよく眠れるな」というのが自然にわかるようになるんです。ダラダラ飲みがなくなりますからスマートですよね。

これは食事にも当てはまります。夜眠るため、日中はきびきびと動くようになると、「食べすぎ」がなくなるんです。というのも、お腹いっぱい食べてしまうと「頭が働かなく、体が重たい自分」に気づかされ、少しずつ「適量を食べる」ようになるのです。

しかも、「何を食べるか」にも変化が生まれます。仕事をしながらダラダラと「ながら食い」をしていた生徒さんも、テキパキ仕事をしているせいか、何となく食べていた間食をやめました。また、別の生徒さんは多忙なためにデスクでおにぎりやサンドイッチを食べる毎日でしたが、味気なさに気づき、きちんとした食事を摂るようになりました。慌ただしい生活をしていると、つい「簡単で手軽なもの」(そのほとんどは炭水化物なのですが)を食べてしまいがちなのですが、たっぷり睡眠を摂っていると「ちゃんとしたものを食べたい」という体の声が聞こえるようになるのです。

グズグズと起きていて、つい食べすぎ•飲みすぎになって太る生活と、テキパキ動き、美味しく食べ、気持ちよく眠る」スリムな生活。どちらがいいか、答えは明らかですよね。