YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.35 見せられる人は、“魅せられる”

楽しい食事やお酒の席が増えるシーズン。私もそういったイベントは楽しみつつ、よりボディラインを美しくする方法はないかしら?といつも模索しています。「先生はスタイルいいから」なんて生徒さんたちは言ってくれますが、とんでもない。いつも「今日より明日、明日より明後日はもっとキレイに!」と欲深く(笑)考えているんです。今回はそんな私の“キレイへの意識育て”について、引き続きお話していきます。

2回前のエッセイのテーマは「どんなお食事でも、ナイフとフォークでいただく」でした。簡単なお菓子ひとつでも、きちんとテーブルセッティングをして楽しめば満足でき、ムダにダラダラ食べてしまうクセをなくせる、というのはたくさんの生徒さんたちも経験済み。こういった“見た目を整える”精神を、私は生活のあちこちで活用しています。

たとえばデイリーワインでも、丁寧にデキャンタージュすると美味しさが引き立ちます。あるいは、毎日使う洗剤の容器ひとつでも、市販のものではなくお気に入りのボトルに移すと家事が楽しくなる。お花のアレンジメントだって、「ちょっと違うかな?」と思ったら自分で活け直します。こんな細かな“見た目の工夫”って、実はとっても大切なんですね。

もちろん、「ちょっとだから、まあいいや」と妥協するのは簡単です。けれど、「こんな工夫をしたら、楽しいんじゃない?」「こっちのほうが好きかも!」と考えてみては? それが美しく決まったときの満足感は、自分への素晴らしいご褒美となります。こうやって「もうちょっと、もうちょっと…」と欲を積み重ねていった結果として、キッチンが気持ちよく使えたり、クローゼットが快適に保たれたりするんです。私の部屋を訪れるお客さんは、よく「冷蔵庫の中までキレイ!」と驚かれますが、卵の入ったパックですら、気に入らない見た目のものがあるのは許せない(笑)。そして、やっていただくとよくわかるのですが、揃いのキレイなガラス瓶に入れ替えたりすると、冷蔵庫をあけるたびに気分がいいんです。それに、どこに何があるかがいつも明瞭だから、「探しものをする時間」なんて生活に入り込む余地がない。見た目を整えるのは、実は生活からムダを省く、とてもいい方法なんです。

生徒さんから「部屋を片付けるときの基準がわからない」なんて相談を受けます。そのときに必ず私が言うのは、「ボーイフレンドがあけても大丈夫なクローゼットや冷蔵庫を目指しなさい」。第3者がいつ、どこをのぞいても大丈夫なお部屋は、間違いなく美しくて機能的です。収納とは「詰める」ではなく「魅せる」ことなんです。

そして何より大切なのは、こうやって機能的に暮らしている人は、ボディも間違いなく機能的だということ。「冷蔵庫の奥に、賞味期限ぎりぎりのものがあったから食べなくちゃ!」なんていうのは、食べものに支配されちゃっていますよね。お気に入りの洋服をしまっているはずのクローゼットがぱんぱんで、着るときにはシワだらけ……なんていうのも悲しいこと。冷蔵庫やクローゼットの中身をきちんと管理できている人は、自分のボディもきっちりとコントロールできているんです。これ、本当です。

さて、あなたの収納は、ボディは、「いつでも見せられる(=魅せられる)」ものになっていますか?