YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.44 季節の変わり目に、セルフチェックを!

私のレッスンでは、春と秋には新しいストレッチをどんどん取り入れていきます。また、「痩せたい!」と言う生徒さんに対して、負荷が高めのものをおすすめするのもこの時期です。
というのも、冷暖房を入れるようになると、室内外のものすごい温度差にさらされますよね。春と秋はそんなシーズンを前にした、いわば“冷暖房を入れる前の準備期間”。この時期に、筋肉(=熱を生むモト)をしっかり作っておくことが、温度差に耐えられる体を育てることにつながるんですね。

ただ、ストレッチでもワークアウトでも、ラジオ体操ひとつでも、「正しいやり方」でなければ効果は出ません。骨盤の角度が違ったり、頭ががくんと前に落ちたままやっているのではせっかくの努力が水の泡。間違った姿勢で激しいエクササイズを行えば、事故にだってつながりかねません。

そこで、私がおすすめしているのが「私の姿勢、大丈夫?」「基本はできている?」というセルフチェック。特に、歩いているときの姿勢はチェックしやすいので、皆さんもご自身の体をチェックしてみてください。

1.影は揺れていますか?
歩いているとき、影はどうなっていますか? もし左右に揺れていたらアウト! それは、体の軸ができていなくて外側重心になっている証です。体の中心を意識して立ったり歩いたりするクセをつけましょう。

2.足元を見ていませんか?
歩いているとき、視界には何が入っていますか? 信号など上方向のものなら問題なし。もしも自分の足元や手元、スマホなどが視界に入っている方は、今すぐ「視線は上」と心してください。頭を下げると姿勢が崩れ、重力がどんとかかります。頭がげんこつ1つ分前に落ちると、骨盤にかかる重力は倍になると主張する方もいるほど! 後頭部を肩甲骨にのせるような気持ちで頭を起こし、視線は上をキープしましょう。

3.腕を大きく振っていませんか?
「歩くときは、胸を開いて、腕を大きく振ってます!」……ちょっと待って。その腕を体の前にもぶんぶん振るのは、肩が前に落ちてしまうのでNG。腕を振るときは後ろに大きく、が正解です。それから、ひじを横に張るのもダメ。ひじを真後ろに向けると胸が開き、正しい姿勢で歩けます。

4.かかとからローリングしていますか?
私はよくレッスンで「ヒールを信じること!」と言います。歩いているとき、前に出した足全体でべたっと着地する方が多いんですね。でも、「かかとから着地する」が正解。たとえパンプスを履いていても、ヒールを信頼して体重を委ね、かかとから着地すること。そこから足裏を徐々にローリングさせ、人差し指と中指で体重を抜いていくのが正しい歩き方です。(ちなみに、この歩き方はスニーカーや一般的なパンプスの場合に当てはまります。ウエッジソールの靴やミュールの場合はそれにふさわしい歩き方があるので、また別の機会に!)

5.後ろ脚で蹴っていますか?
日本人女性は、「前足から歩いていく」人がほとんどです。前に出す足に体重をのせ、それに後ろの脚がついていく歩き方。けれど、前に出した足&脚はあまり重要ではないんです。後ろにある脚が地面を蹴り、それにつれて体が前に移動するのが正しい歩き方。これなら前のめりにならないし、ふくらはぎやかかともきちんと使えるので、脚がほっそりと引き締まります。

たった5つのチェックですが、毎日行う「歩く」という行為のクオリティを上げる効果は絶大です。正しい姿勢で動ける体になって、来るべき冬に備えましょう!