YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.45 鍛えないで!その腹筋

このエッセイを読んでくださっている方はカラダに関心がおありと思うので、ひとつクイズを出しましょう。

「お腹痩せしたいと思ったら、どんな運動をしますか?」

きっと9割の方は「腹筋を鍛える」と答えるのではないでしょうか。確かにたるんでぽよんとしたお腹は、鍛えたら引き締まりそうな気がしますよね。でも、山田流では「腹筋を鍛える」はNG。ぽっこりお腹を気にしている人こそ、腹筋を鍛えるという発想を捨ててほしいのです。今回は、そんな「腹筋をめぐる謎」がテーマです。

なぜ腹筋を鍛えてはいけないか————なぜなら、“作られた腹筋”と“自然に引き締まった腹筋”は違うから。筋トレマニアの方や一部の男性は割れた腹筋に憧れるかもしれませんが、「スレンダーなボディになりたい」という方には、“作られた腹筋”は不必要ですよね。服を着てもわかるような美しいくびれがあれば充分なのではないでしょうか。そして、そのくびれを育てるには、お腹の筋トレよりももっと効果的で効率のいい方法があるのです。

そのために必要なのは、ちょっとした発想の転換。“腹筋を縮めて鍛える”のではなく、“伸ばす”動きを取り入れるのです。ここでポイントになるのは背筋。背中の筋肉をしっかり使えるようになると前屈みだったカラダがすっと起き、腹筋も自然と伸ばされます。そうすると、面白いようにお腹のぽっこりがなくなっていくんです。

私が教えているウォーキングのレッスンでも、いちばん最初に効果が出るのは、実は“背中”。猫背だった方が背中を使えるようになると、それにつられてお腹も自然に美しくなります。そもそも腹筋と背筋はペアになっているのですが、普段多くの方が使えていないのは、お腹ではなく背中。さぼっていた背筋が働き出すと、自ずと腹筋が引き上がるのです。背中を使うからこそ、お腹が痩せる。カラダの仕組みにのっとった、ごく当たり前のことなんです。

この方法のいいところは、カラダや筋肉を傷めないこと。無理な力で腹筋運動を行うと首などを傷めてたりケガすることがありますが、背中を使って徐々に可動域をあげていけば、カラダにおかしな負荷はかかりません。腹筋が割れることもありませんが、ハイレグの水着のような、Vラインからつながったシャープな筋肉がつきます。

ちなみに、ダルダルだったお腹が伸ばされると、余計なお肉はどこへいくと思いますか? 下へ下へと溜まっていたお肉は、引き上げられることでバストの一部にできるんです。
縮める腹筋より、伸ばす動きを。その理由、わかっていただけましたか?