YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.47 罪悪感で、女は太る。

前回ご報告した、「食べたものをすべて写真に撮る」という“食の日記帳”。私はよくこういった自由研究を行うのですが、前回のエッセイを見て「私もやりたい!」と参加する生徒さんが増えましたし、効果てきめんなので「まだ続けます」という方がほとんど。もちろん私も継続中。そんな自由研究から見えてきた成果を、引き続きご報告します。

食べたものすべてを写真に撮る自由研究を始めて2ヵ月ほどになるので、いくつかパターンが見えてきました。
たとえば痩せるスピード。参加したすべての方に効果が出ていますが、変化が訪れるのに1ヶ月以上かかる方もいますし、その反面、1週間で痩せ始める方もいるんですね。

どうしてこれほどの差が出るんだろう?と考えていて、はたと思い当たったのは「美意識の差」。平たい言い方をすれば「ええかっこしい」なタイプといいますか、「見られているからきちんとしなくちゃ」「撮る以上は恥ずかしくないものに」と思う方は、いい意味で見栄をはるので食事が変わってくるんですね。こういう方は2週間、早い方なら1週間で体が変わり始めます。

では、効果が出るまでに3〜4週間かかる人はというと、格好つけたり見栄をはらないタイプ。そういうとよく聞こえますか? いえいえとんでもない。それは私に言わせると「妥協するタイプ」です。

そういう人は、自分の胃袋に何を食べたいのかを聞けていない。胃袋が必要としていないのに「お昼だから食べなくちゃ」と食べるクセがついているんですね。「いま時間があいてるから、食べておかなくちゃ」と、お腹がすいてもいないのに食べることが多いパターン。これに気づくまでに、3〜4週間かかってしまうんです。

さらに時間がかかって、効果が出るまでに1ヶ月以上を要する人もいます。それは「とりあえずタイプ」。お腹がすいていると「いま、何が食べたいかな?」と考えもせず、とりあえず近くにあるものを食べてしまう人。こういうパターンが意外に多いんです。
「本当はハンバーグが食べたかったけれど、コロッケしかないからそれでいいわ」「賞味期限が近いから、とりあえずコレは食べてしまわないと」なんてセリフ、つぶやいていませんか? こうやって「まあいいか」と「とりあえず」が続く人は、なかなか痩せることができません。なぜなら「とりあえず」の積み重ねでダラダラ食べてしまうから。たとえばこんな具合です。

「ケーキが食べたいんだけれど、ちょうどフィナンシェがあったからこれでいいわ」───とんでもない! 食べたいものを無視して「とりあえず」の手近なものでごまかすと、満足感を得ることはできません。そうすると結局、「フィナンシェはケーキよりカロリー低いから、クッキーも1枚食べちゃった」なんてことになるのです。そして結果としてダラダラと、食べたくものないものをたくさん食べてしまう。

こんなことになるならはじめから堂々と、食べたいケーキを食べればいいんです。私は我慢するダイエットは絶対に反対! 変に我慢せず、食べたいものを堂々と食べる。これが、ストレスなくきれいなボディになる近道なんですから。

ボディメイクでも趣味でも仕事でも、「とりあえず」を続けている人は「とりあえずの仕事」しかできないし、「とりあえずの体」にしかなれません。「とりあえず」だったらやめちゃいなさいよ!───仕事でもプライベートでも、私はよくそう言っています。

しかも、この「とりあえず」が厄介なのは、本人が「よくないんでしょうけど」と食べることに罪悪感をもっていること。「太るとは思うけれど、食べちゃったんです〜。ダメですよね」なんて言っているうちは、永遠に痩せません。食べてしまったらその分、満ち足りた気持ちできちんと動いたり、翌日を節制すればいいんです。中途半端な罪悪感があったり言い訳している人は、永遠に痩せないと断言できます。

忘年会シーズンのこの時期、「食事会が続いて……」という方も少なくないでしょう。でも、パーティや忘年会で食べたいのなら、堂々と食べればいいんです。そして満ち足りた気持ちをめいっぱい味わってください。その後は燃やせばいい。

とりあえずの体」と「なりたい体」。あなたがなりたいのは、どちらですか?