YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.48 「私の基準」で、きれいになろう!

世の中にはたくさんのダイエット法がありますよね。食事をこうしろ、こんな運動をすべき……。それぞれに理由があってなるほどと思わされますが、「◯◯はイイって聞いてたのに、ちっとも痩せない!」といった声も聞くのではないでしょうか。今回は、そんな「◯◯はイイ」についてのお話です。

新しい生徒さんから「全身がうまく痩せてきたので、この勢いでお腹をもっと引き締めたいなと思って……」という相談を受けました。体重としては問題ないし、手足はすらりと細い。姿勢もどんどんよくなっているところだったので、日常を丁寧に見直してみましょうという話に。今、生徒さんたちの間で大ブームの「すべての食事を写真に撮る」にチャレンジすることになりました。
送られてきた写真を見ると、さほど大きな問題はなさそう。間食が多いわけでもないし、メインは和食。夜ご飯は軽めにして、太りそうなものはランチにまわしている。いわゆる「ダイエットの常識」はきちんとおさえていそうです。

けれど、はたと思い当たりました。「ねえ、あなたの仕事って制服だったわよね?」──そうです。その生徒さんは制服があり、日中はストッキングとスカートな毎日。しかも、オフィスではずっと座りっぱなしで、お手洗いに立つのも難しいほどデスクに貼り付いているのだとか。原因はこれだ!とピンときました。そこで、私が導き出した解決策はこれ。

「お昼に炭水化物をどーんと食べて、夜は軽い食事で済ませてるわよね。これ、逆にしてみたら?」

生徒さんは仰天。「そんなの怖くてできません!」と言われましたが、当然の反応ですよね。ただ、私には確信がありました。毎日制服を着て、スカートでウエストを締め、ストッキングで足を締めている。しかも日中ずっと座りっぱなしでは、冷えもむくみも加速する一方。そんな仕事の最中に炭水化物をしっかり食べていては、痩せるわけがないのです。

「もしも太ったら、先生が責任とってくださいね」と生徒さんは心配そうでしたが、それでもまじめに取り組んでくれました。その結果、なんと4日で変化が出てきたのです。「お腹がすっきりしてきた!」と、本人は驚いていました。

「いちばん太りにくいのは、昼の食事。炭水化物を食べるなら昼がいい」というのがダイエットの常識となっていますが、必ずしも万人に当てはまるものではありません。これ、要は「夜は運動量が下がるから、食事を軽く」という知恵なんですね。前述した生徒さんの場合は昼の運動量が極端に少なくなっていたので、軽めの食事を昼にもってくるのはごく自然なことなんです。肝心なのは、「自分の生活/体型/体質に、それが合っているか」を見極める目です。

ここ2回ほどご紹介した「食べたものをすべて写真に撮る自由研究」も、結局は自分の食べグセを見直すためのもの。「前日にしょっぱいものを食べるとむくむ」とか「忙しいからって手近にあったパンをドカ喰いしちゃった」など、自分のクセや傾向がわかります。これらとじっくり向き合えば、心を満たしつつ体のバランスも整う食へと変化していくはずです。

私自身もこの自由研究を始めてから「冷たいものが続いているとき(買ったパンなど)は、忙しくてストレスが溜まりがち」という自分に気づくことができました。それから、牛乳や水ひとつ飲むにも温める、大切なお皿に盛っていただくなど、気持ちに余裕をもたせる工夫を始めました。そうすると、ゆったり食べられ、メンタルも潤うんですね。食事内容を変えたわけでもないのに、なんと1.5キロ減ったのだから、我ながら驚いています。

食べ方も、姿勢も、すべては「自分の意識が作ったクセ」の集積です。見つめて、反省して、次に活かすこと。そうすれば体が美しく整うだけでなく、心も満足してよりヘルシーに、より楽しく毎日が送れるはずです。きれいに痩せる生活を楽しんでいる私の生徒さんたちが、何よりの証拠です。