YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.92 本当に食べたいもの、食べていますか?

いつも生徒さんには、「今、本当に食べたいものを食べるように」と話しています。しかし、冷蔵庫には、いつも特定の食品を入れているという方も少なくないのです。

ある生徒さんは体によさそうだし、太らなさそうという理由で、冷蔵庫にヨーグルトを常備し、小腹が空いたときに食べていました。私はヨーグルトを食べていることがあまりに多いので、「ヨーグルトが好きで食べたいの?」と聞きました。やはり、本人に聞くと、それほど食べたいわけではないと言います。夜9時以降は、ヘルシーだと思われているヨーグルトを食べるようにしていたのですが、1つでは満足できず、2つ、3つと食べていたそうです。

ここでひと言。食べ物は自分の体に入れるものだからこそ、妥協しないでください。「とりあえず」口に入れていたら、「とりあえず」の体、「とりあえず」の体型になってしまいます。

また、「体に悪くはないはず。太らなさそう」という食事への罪悪感から食品を選んでいる点も気になります。まず、自分が悪だと思うものは、冷蔵庫に最初から入れていないのです。しかし、本当に自分が望んでいるものでなければ、食事の満足度は格段に下がってしまいます。実は本当に食べたいものを選んで、心から楽しんで食べている人は、案外太らないものです。

朝起きて、お腹がまったく空いていないにもかかわらず、お通じをスムーズにするために朝食を無理矢理食べるのもナシです。本当はお腹が空いてなくて、食べたくないのなら、空腹を感じるまで食べないほうがいいのです。お腹が空いていないのに、食事の時間だからと、惰性で食べていると、太ってしまうことがままあるのです。

再度言いますが、自分が本当に今、食べたいものだけを食べるようにしてください。そうすれば、食への満足度は明らかに変わります。結果的に食への満足度がグンと上がるので、余計なものをダラダラと食べることもなくなるのです。

ある生徒さんはスーパーでおいしそうなグレープフルーツを見つけて、今日と翌日の分を買いました。しかし、今日はおいしくグレープフルーツを食べたのですが、ストックしておいた分は、食べたいと思う瞬間が来なかったので、結局だめにしてしまったそうです。この生徒さんは自分の本能に忠実なタイプなので、本当に自分が望んでいるわけではないことに気づいて、食べずにいました。しかし、生鮮食品をストックしてしまったことを後悔したそうです。

人間の心身は、日々変わっていきます。「また、食べたくなるだろう」「これがあると安心」と予測してストックしておくのはナシ。よほど好きなものでない限り、食べたいという気持ちには、なかなかならないからです。本来は刻一刻と変わっていくものなので、先々のことは誰にもわかりません。結局、本当に食べたいわけではないものを「もったいないから」と口にすることになります。でも、「もったいないから」と惰性で食べてしまうのは、自分の体をゴミ箱にしているようなもの。冷蔵庫の残り物の掃除を、自分の体でするほうがよほどもったいないのです。

また、「あとでお腹が空くだろうから食べておこう」と自分の体にストックしておくのもよくありません。他のことに関しての予測や準備はいいのですが、食に関しての予測は、おすすめできないのです。本当に今、食べたいものをわざわざ買いに出かけても、食べるようにしてください。

自分で自分のために予め食べ物をストックするのはよくないのですが、人からいただいたサプライズの贈り物は別です(笑)。たとえば、大好きな銘柄のフルーツをいただいたとしましょう。「わぁ、うれしい!」「いつ食べよう?」「食べ頃は5日後みたい」と毎日楽しみに待って、いよいよ当日、楽しんで食べるのです。これぐらいテンションの高い食べ方は、自分ではなかなかできるものではありません(笑)。

とにかく今、本当に食べたいものを選んで、楽しんで食べましょう。食べ物はあなたの体を形づくる大切なものです。また、新鮮なものを新鮮なときに食べることにも繋がります。もし時間がなくて、なかなか毎食はこだわれないという方は、1日1食でも本当に食べたくて仕方ないものを食べるようにしてください。心身の変化が感じられるようになるはずです。