YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.97 キレイになれない口癖の正体

20年ほど前のことです。私が尊敬している経営のプロから、「僕は“もう”と“まだ”の使い方を大事にしているんだけど、先生は使い分け方を知ってる?」と言われました。そのとき、「私、もうだめなのかなと思うこともあるんですよ」と話していたところ、「“もう”は“まだ”だし、“まだ”は“もう”なんだよ」と励ましてくださったのです。その方は、「『まだ大丈夫』と言っている企業ほど『もうだめ』。でも、『もうだめ』と言いながら、必死に頑張っている企業は『まだ大丈夫』」と教えてくださいました。実はボディに関してもその通りなのです。

「私、もうだめかも…」と言っている人ほど、現実を直視して、細々とボディのメンテナンスをしています。反対に「まだ大丈夫」と言っている人は、現実から目を背けているので、いつまで経っても具体的な行動に移せず、手遅れになってしまうのです。

「もうだめ」が口癖の人がキレイになるのは、実は簡単です。本人は理想を持っているし、現状のままではよくないことがわかっているので、キレイになる方法さえわかったら、すぐに素直に実践すれば、できてしまうのです。正しいことをしっかり教えてくれる、いい先生さえ見つけたら、基本どんなところでもやっていけるのがこのタイプ。しかもやればあっさりできてしまうので、私の生徒さんの場合、ほめることしかありません。

ひとつ、気をつけるとしたら、自分のペースを守ること。キレイになる方法を習得し、結果として表れるまでにかかる時間は、本当に人それぞれ。自分なりの無理のないペースを守り、コツコツとやっていけば、必ず結果は出るのです。このタイプは「私、もうだめなんです」のほかに、「私なんて」「私にできるのかしら」「どうやったらキレイになれるんですか?」といった口癖があります。これらの言葉は一見、ネガティブに聞こえるかもしれませんが、こうした口癖がある人は、正しい道に行けば大丈夫です。

また、キレイを手に入れたら、ほどよい緊張感を保つことも大切。キレイを手に入れたことで満足し、調子に乗って緊張感を忘れてしまうと、キレイが遠のくので気をつけましょう。この“美しさを保つ緊張感”については、次回詳しくご紹介します。

一方、「まだ大丈夫」が口癖の人は、現実から目を背けているので、なかなか適切な手が打てず、手遅れになりがちです。試しに「私はまだ大丈夫」と言っている人のお腹や背中を見てください(笑)。とはいえ、情報通で、気力や気合いで乗り切れたり、ポテンシャルが高いのもこのタイプ。いろんなことに興味があって、情報をキャッチできるのですが、情報を取り入れた時点でやった気になってしまい、行動に移せていないのです。新しい情報を取り入れたり、流行りのダイエットグッズを買った時点で、「これがあるから大丈夫」と思ってしまいがちです。また、情報の聞きかじりがたくさんあって、それが間違った知識であることも多々。本人の思い込みがたくさんあるので、筋肉も思考と同様にガチガチにこり固まってしまっています。一方、「もうだめ」が口癖の人は、筋肉の少ない方が多いです。心の状態が体に表れるのは、とても面白いですよね。

では、「まだ大丈夫」が口癖の人がキレイになるには、いったい何をすればいいかというと、自分の思い込みがキレイになる邪魔をしているので、頭の中を一旦キレイに空っぽにして大掃除するのです。このタイプは、「でも」が口癖で、話をしっかり聞きながら話し合うと、「でも」と持論を展開して、自分の意見を押し通そうとします。しかし、その間違った思い込みが、今の体を作っているのです。それでは、キレイになる機会を自ら手放しているようなもの。あまりにももったいない話です。頭の中を一旦リセットし、自分の思い込みや持論は外に置いておいて、人の話に聞く耳を持つことが非常に大切です。

実は頭の中の大掃除ができれば、元々は気力があり、ポテンシャルも高い人なので、謙虚に人の話を聞いて取り入れれば、爆発的にキレイになれます。元々強いエネルギーの人なので、その使い方さえ間違えなければ、いい方向に向かっていけるのです。また、体作りを通して、人の話を謙虚に聞くことが身に付くので、人としてのバランスがよくなり、とてもかわいらしい人になります。このタイプは、こり固まった思考さえ手放せれば、キレイを簡単に手に入れられるのです。

キレイになれない口癖は、意外とたくさんあります。そして、口癖は自分で自分に言い聞かせている言葉でもあるので、キレイになれない呪いを自分自身にかけているようなものです。

他にも「仕事が忙しいから」「子どもや主人のことで手がいっぱいだから」などと、言い訳が多い人や、できない理由を自分以外にしている人も要注意です。なぜなら、キレイになれない理由は、自分自身の中にあるからです。もし、おブスな言い訳をしていたり、なかなかキレイになれないと感じたら、口癖に注目してみてください。