今回は、私が社員研修や講演などを担当するときに生徒さんから受ける典型的な質問についてお話しましょう。パーソナルレッスンでもさまざまな質問を受けますが、初対面の方々からいただく質問でいちばん多いのは、「むくみ」について。皆さんから「どうやったら脚がむくまなくなりますか?」と聞かれることがとても多いんです。
でも、答えは簡単! 正解は「同じ姿勢を続けないこと」。血液は心臓から送られ、全身を巡って心臓に戻っていきますよね。上(心臓)から下(脚)へ血液を送るのは容易ですが、下(脚)から上(心臓)へと戻すには、ヘルプ、つまり「運動」が最も効果的なのです。運動といっても、ハードなエクササイズをする必要はありません。それより、日常の生活の中での「こまめな動き」がおすすめです。
たとえば足首をくるくる回す。足指を開いたり閉じたりする。関節をゆるめ、ぱたぱたとせわしなく動かすと、関節周りの筋肉が動き始めるんですね。むくみがちなふくらはぎを単体で動かすことはできませんが、足首をぱたぱたするだけで、その筋肉や周辺が動くのがわかるはず。こうやって筋肉を動かせばポンプ作用が働きますから、滞りがちな血液やリンパが流れ、むくみ知らずの脚を育てることができます。
それからもう1つ、皆さんにチェックしていただきたいのが「デスク下」。書類や資料を押し込めたり、ごてごて荷物を置いていませんか? “荷物の花道”があって、脚を伸ばしたり動かしたりするスペースがなければ、むくんで当然です。座りっぱなし、立ちっぱなしといった「同じ姿勢を続ける」は、むくみの最大の原因です。デスクワークの方には「15分に1回は席を立ってください」とお伝えしているのですが、こまめに動くことがいちばんの予防策になります。
論より証拠、私の個人レッスンを受けている生徒さんからは「脚がむくむ」という声はあがりません。レッスンのたびに「こまめに体を動かして!」と私から言われているので、生徒さんは座っていても脚を組み替えたり、中にはデスクの下でこっそり靴を脱いで足指を動かす強者もいるほど。コピーをとる、お茶を入れる、ゴミをゴミ箱に入れるといった動作も「体を動かすチャンス」とばかりにきびきびこなしているので、むくむヒマなんてないんです。
それからもうひとつ、「きついストッキングやスカートを履かないこと」も頭に入れてください。意識の高い女性は「服のサイズを上げて余裕ができたら、つい食べてしまうから」と言って小さめサイズを選びがちなんですね。油断しないようにという心がけは悪くありませんが、ゴムやベルト、ストッキングで締められたお腹がどうなっているか、考えてみてください。締められたウエスト部分で上体の重みがブロックされると、お腹はボンレスハム状態に。しかも座りっぱなしでランチをしっかり食べた日には、お腹やお尻が大きくなる一方です。「下着のつけ方」のときもお話しましたが、ピタピタサイズの下着や服は、美容にも健康にもよくないと心してください。
忙しい毎日で、ワークアウトなどを取り入れるのは難しいもの。でも、こうやって日常の中に「ちょっと動くクセ」「むくまない服選び」を取り入れれば、むくみ知らずでいられます。まずは、デスク下のチェックから始めてみては?