YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.49 私が年賀状を出さなかった理由。

このエッセイでも何度か、お部屋の断捨離、冷蔵庫の断捨離、そして体の断捨離についてご紹介してきました。クローゼットや冷蔵庫をパンパンにしないこと。お腹いっぱいまで食べるのではなく、“2割の余裕”を残すこと。そんな風通しのいい毎日が、きれいな部屋やムダのないボディを育ててくれるのだ、と。

ところが、ずっとそう話していた私にもまだ断捨離しきれていない部分があったのです。それは“人間関係”。なかなか手をつけられない、けれど一番大切なものの断捨離について今回はお話します。

きっかけは、携帯電話のバックアップを取ろうとしたときのことでした。バックアップにびっくりするくらい時間がかかってしまったんです。どうしてだろうとチェックしたら、電話番号登録も写真フォルダもいっぱい。お部屋の断捨離もいいけれど、このデータを整理しなくちゃ!と思い立ったわけです。

それから、毎日一件ずつ電話番号を削除することにしました。この作業って「このお付き合いは大切」「この方とはご縁がなかったわ」と、人間関係を整理するのに等しいんですよね。見直してみると、自分が大事にしたいお付き合い、守りたい関係がたくさんわかってくるんです。それはクローゼットの整頓と一緒で、人間関係をとても風通しがいいものにしてくれました。

私は合理的にものごとを判断するほうですが、やはり一度メディアに出てしまうと「なんとなくのお付き合い」が増えたり、考え方が違うのに維持している関係が出てきてしまうんですね。仕事柄、多くの著名人や重鎮の方とご一緒することも多いのですが、そういう方々も「不要な付き合いが増えて」と皆さん悩んでいらっしゃいました。

でも、限られた自分の時間をそういった関係の維持に使うなんてもったいない! 自分にとって不要な電話番号や写真を削除し始めてみたら、もっと人間関係を断捨離したくなりました(笑…)。

次にトライしたのは、クリスマスカードや年賀状、寒中見舞い、お歳暮などをほとんど止めること。これは大変な勇気が要りました。いただいたらお返しはするけれど、自分からは基本的にお送りしない、と決めたのです。私は筆まめなほうですし、仕事関係のご挨拶は欠かさないタイプだったので、お歳暮や年賀状なしで年を越したのは生まれて初めてでした。

ところが、止めてみたら何ひとつ困ることはなかったのです。大切なお付き合いの方とは普段からこまめに連絡を取り合っていますから、形式的なご挨拶なんてなくても大丈夫なんですね。

形式的なご挨拶をなくすことで時間ができたので、昨年末は自分のボディのケアをしたり、趣味に時間を割いたりという余裕が生まれました。いらないお付き合いがなくなった分、目の前の生徒さんとしっかり向き合え、メールでのフォローが密になるなどいいことづくめ! 今では、どうしてもっと早く人間関係の断捨離をしなかったんだろう?と思うほどです。

普段から丁寧なお付き合いを心がけていれば、季節にかまけて形式的な何かをする必要はないんです。普段のお付き合いを雑にしてしまうのが一番いけないこと。これって、ボディと一緒だと思いませんか?

たまにヨガに行こうとか、マラソン大会に出るからと急に走り込みをしたって、強くて美しいボディはなかなか育ちません。それよりも、地味に感じられても毎日こつこつと、きれいな姿勢を保つこと。姿勢を正してきちんとした立ち居振る舞いを心がけていれば、特別なエクササイズをする必要なんてないんです。

大切なのは、日常を丁寧に生きること。そうすれば大事なもの、必要なものが見えてきます。人間関係でも、ボディでも。