YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.62 目指せ、見返り美人。 ~後ろ姿は、顔の美しさよりモノを言う~

季節の変わり目の三寒四温が過ぎ、ようやく春の到来ですね。春の穏やかな陽気は心と体をリラックスさせ、美へのモチベーションがむくむくと高まる時季でもあります。そして、そのチャンスは目指すべき美の指針があってこそ生かせるもの。私自身、常に心がけていることがありますし、生徒さんたちにも折に触れ、そのことをお伝えしています。

少し前に、生徒さんの一人が「先生、この間すごくおもしろいことがあったのよ」とあるエピソードを話してくださいました。「道を歩いていたら、誰かが後ろから近づいて来る気配がしたの。嫌な感じではないのだけど、足音やペースになんとなく違和感があって。その人がすーっと横を通り過ぎていったと思ったら、こっちを向いたの。わたし振り返られちゃったのよ、後ろ姿で」。楽しそうな話しぶりに思わず笑ってしまったのですが、これ、すごく象徴的な話なんです。

なぜかというと、実は「美人である必要はない」というのが私のモットー。そのきっかけはモデルをしていた頃、オーディションでプロデューサーの方に言われたひと言。「君はさ、美人じゃないよね。でも交差点にいると、一回すれ違うんだけど、振り返っちゃう感じだよね」。そう言われ、お仕事をいただいたことがあるんです。思わず振り返ってしまう見返り美人。すごくいいワードだな、と思って頭に残っていて、振り返られそうな横ライン、そして後ろ姿がキレイなことは大きな武器だと気づきました。それ以来、仕事で後ろ姿を使っていただくのが好きになり、オーディションでテスト撮影をする時も、自分から「後ろも撮ってください」とお願いするようになったほど。

どうして後ろ姿を重要視するかというと、前は鏡に映せば自分で見ることができ、いくらでも飾ってごまかせますよね。だけど後ろは見えないから意識が行き届きにくく、ごまかしがききません。見えない部分、手をかけられない部分の美しさは顔が美人であることよりも大切。だから仰向け寝で前重心に偏りがちな姿勢を正したり(Vol.16 「寝るだけ」で、歪みや脂肪にさよなら!)、背面の“逆T”(顔幅の背中と骨盤の腰骨の渡り)だけを使うようにしたり、常に後ろに意識を向けています。

とくに、後ろ姿においては美脚が要。ウォーキングのレッスンの時も「前脚よりも後ろの脚がキレイじゃないと絶対ダメ!」とお伝えしています。実は知らない方がほとんどなのですが、前脚より後ろ脚を使って歩くんです。使うのはお尻(それも顔幅)から腿の内側の筋肉がメイン。そして真っ直ぐに立った時、股下3センチの内腿、膝の内側、ふくらはぎの上の方、くるぶし、この4点が付いているのが理想の美脚です。内側にパンツの縫い目があったら、鏡に映して“ちょい見え”くらいの位置になっているのが美しく、逆に外側の縫い目が見えていたらアウト。外側重心になっているということで、脚のシルエットがO脚気味になってしまいますから。歩き方のさらなる詳細は次回ご紹介する予定なので、併せて読んでみてくださいね。

後ろ脚のキレイを意識すると、自ずと歩き方も姿勢も正しくなって、後ろ姿全体がキレイになります。そして後ろ姿がキレイになると、結果的に前から見てもかっこいいボディになる。だから、目指すは“見返り美人”。今日から意識してみてください。