YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.52 循環させましょう。部屋も、体も、心も!

私の主宰しているウォーキングレッスンにいらっしゃるのは、正しい知識や健康、美しさを求める方々ばかり。「もっとよくなるはず」「ほかのやり方はないかしら?」と、常に研究も重ねています。私自身の体も、今日よりも明日のほうがもっとキレイになるような努力を地味にコツコツ続けながら、さらなる分野を学習中。

ですから、生徒さんたちと行う“自由研究”は欠かせません。課題を決め、それにチャレンジするというもの。みんなでやれば頑張れるし、意外な発見があって楽しいんです。

つい先日行ったのは「家にあるもの、全部着てみよう!(アクセサリーやストールを)つけてみよう! (靴や靴下を)履いてみよう!」という自由研究。とりあえず一通り、袖を通してみる! つけてみる! 履いてみる! というチャレンジをしたんです。

そうするとクローゼットなんて、奥のほうに眠っていたものまで引っ張り出されますよね。
「3年は着ていないものを発見してびっくり」
「お気に入りだったアクセサリーに、輝きがなくなっていました」
「靴ズレしたから履かなくなった靴が出てきました」
「実はたっぷり服が収納されていたことがわかりました」
……などなど。みなさん、文字通りタンスのこやしになっているものを整理できたよう。収納という名で押し込んだものに風を通す、いいきっかけになりました。

「整理する」ではなく「着てみる」チャレンジにしたことで、効果はさらに高まりました。
「衝動買いしたワンピース。ボディにフィットしていなかったのでしまいこんでいたら、シワシワになっていました」
「お気に入りなのに、どうして最近着てなかったんだろう?というブラウス。袖を通してみたら、ボタンがとれてそのままになってたんです!」
……こんな具合です。

お気に入りのはずだったのに着ていないものには、それなりの理由があります。シミがあったりほつれていたり、ボタンがとれていたり。「あとで直しておこう」とクローゼットにつっこんだが最後、数ヶ月、1年、人によっては数年経過していたなんてエピソードもありました。

以前「『準備する』の効能」でもお話しましたが、スタンバイOKならお部屋もボディも美しいもの。準備できていない服は、クローゼットで置き去りになっています。そんな状態で、いつ出番が来るのでしょうね。かわいそう……。そして、あわただしい人は、その存在すらも忘れていそうですね。残念。

だからまず、循環させませんか? 「開かずの扉」があるのはもってのほか。何日も触っていない引き出しも、ずっと使っていない調味料も、積んだまま読んでいない本も、ただの場所ふさぎです。そこに風を通して循環させれば、「これは必要ないんだな」「この服、シミ抜きをしようって思いながらそのままだった」といった気づきが得られます。

これは、体にも当てはまります。あとでシミ抜きしようとか、何事も“あとで”の人は、増えた体重も脂肪も“あとで”になってしまって、取り返しがつかなくなります。もちろん筋肉やコリのケアも何事もスピードですよね(『スピードは、価値を生む!』参照のこと)。

使っていない筋肉があるのはもったいない。全身の筋肉をくまなく使うこと、血液やエネルギーを循環させることが大切。歩くという動作ひとつとっても、膝下だけぽんと出して歩くのと脚全体を使って歩くのとでは、エネルギー消費量がまったく違いますよね。

持っているものをすべてきちんと循環させている人は、体もマインドも風通しがいいんです。体にもムダがなく、全身の筋肉はきちんと使われている。だから、ストレッチをしても、筋肉が伸びやかで動きもキレイ。ムダなお肉は溜まりにくい。巡りがよいということは、お部屋でも、体でも、マインドでも同じように大切なんですね。悩みごとだってそうでしょう? 溜め込まず、解決と改善をすることが大切ですよね。頭に詰め込むだけではパンクしてしまいます。

まずは「一通り着てみる」をやってみませんか? 問題なのはあなたのメンテナンスかもしれませんよ。