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Essay エッセイ

Vol.71 一番大事なことは何ですか? ~カタチに囚われ、キレイを遠ざけないために~

今年も残すところ、あとわずか。この時季は年賀状に始まり、お礼状や年末年始のご挨拶など、お手紙を書く機会が多いですよね。私自身は以前エッセイでお話したとおり、数年前から年賀状は出さないことにしているのですが、お礼や感謝の気持ちを伝えるお手紙は日頃から頻繁に書いています。

でも、じつは私、文章を作ることが得意ではありません。それもいわゆる“ビジネスレター”のような、マナーに則って理路整然と何かをお伝えする、そういった文章はとくに不得手です。“きちんと書かれた文章”というのは丁寧でいて、時に「冷たい」「硬い」という印象にも受け取られるもの。必要なことを漏らさず、わかりやすくお伝えすることも重要ですが、手紙を受け取る方がもたれている私の印象のまま、自分の言葉で伝えることの方がもっと大事だと思っています。

先日も、ステージトークを聞いた方からレッスンについての問い合わせがありました。文章が得意でないうえ、私のレッスンはマンツーマン。みなさんが同じ内容ではないため、それを活字にするのは難しいのですが、ステージトークの延長のような文章を心がけ、お返事することができました。

そう、肝心なのは「何が一番大切か」ということで、そこを軸にすれば、型に囚われず伝えるべきこと、そのために適した言葉が自然と頭に浮かんできます。マナーやセオリーを考えるのは、その後で十分。けれどやっぱり、みなさん物事を型にはめて考えようとしてしまいがちですよね。その傾向は、とくに美ボディを作る基本である、姿勢の指導をするときに実感しています。

正しい姿勢をお教えするとき、みなさん必ずと言っていいほど「どれくらいキープしていればいいんですか?」「ずっと正しい姿勢でいるにはどうしたらいいんですか?」と質問されるんですね。でも、じつは正しい姿勢を “キープ”することは重要ではないんです。正しい姿勢が“わかって”いて、そこにスッと戻れる柔軟性があればいい。いくら形が正しくても、そのままでいたら筋肉も動作も固くなって、肝心のしなやかな美ボディからは遠ざかってしまいますから。

だから、同じ姿勢を15分以上続けない。これが姿勢において一番大事なことです。デスクワークの多い方なら、脚を組み変えたりのびをしたり、できれば小さな用事を作り、こまめに立ち上がるようにしてみてください。自宅でのリラックスタイムなら、ソファでだらりと過ごしてもOK。そうしながら、正しい姿勢にスムーズに戻れることをちょこちょこ確認するんです。

もしも正しい姿勢がわからなくなってしまったら、「壁基本姿勢(かかと・お尻・肩甲骨・後頭部が壁に一直線につく)」や仰向け寝(vol.16)で感覚を取り戻しましょう。そして、長時間同じ姿勢で過ごしてしまった日は肩回し(vol.5)ぶらぶらストレッチ(vol.7)をして体をリセットすればいいんです。

一番大事なことを心に留めて、それ以外は状況に合わせて柔軟に。それがキレイを進化させ続ける秘訣のひとつです。さて、みなさんにとって一番大事なことはなんでしょう? 新しい年を迎えるこのタイミングに、改めてそんな問いかけをしてみるのもいいかもしれませんね。