YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.74 しなやか美人の「環境コントロール」術

桜の季節も終わりに近づき、少し不安定ながらも暖かい日が増えてきました。春は筋肉が自然にゆるみ、体が動かしやすくなる季節。この時季に正しい姿勢でたくさん歩くようにしたり、ふだんよりちょっとだけレベルアップのエクササイズをのびのび取り入れたりすると筋肉のやわらかさ、しなやかさの質がよくなり、美ボディの土台が底上げされると同時に夏や冬のケアが楽になりますから、ぜひ積極的に体を動かすようにしてみくださいね。

さて、「筋肉のやわらかさ、しなやかさ」についてはこのエッセイでも事あるごとに触れてきていることですが、私の考える美ボディにとって大切なのは、なんといっても柔軟性です。筋肉をいかにやわらかに、しなやかに整えておけるかがボディラインや動作の美しさに直結しているからです。そのために、日常生活の中で「同じ姿勢を続けない」「ゆっくり呼吸する(vol.6)」「あお向け寝をする(vol.16)」「ぶらぶらストレッチをする(vol.7)」「入浴する」といったことを実践し、また生徒さんたちにも勧めているわけですが、その日の予定によってケアをしきれない時もありますし、同じケアをしても効果の出方が違うこともありますよね。そんな時はどうすればいいか? 私が心がけているのは、細やかな「環境のコントロール」です。

前回の「特定の枕を使わない」というお話もその一環で、睡眠環境でいえば体の下に敷くものもそう。ベッドにお布団、床に何かを敷いたりと、その時々で固さ、やわらかさを変えるようにしています。筋肉が固いな、と思った時は体の沈み感を大切にしたところで、ケアでやわらいだな、と思った時は少々固めでも大丈夫、と判断。要は“固さ”と“やわらかさ”のバランスを取ることが肝心なんです。フィット感や肌の感触も重要で、枕代わりのブランケットと同じ素材のものにすっぽりくるまるようにして寝ているのですが、そうすると体全体がひとつになった感覚がして、すごく寝心地がいい。大きめのブランケットをたっぷり使うので、腰の筋肉が強張っている、なんて日は腰やヒップの下が少し高くなるようブランケットを調整したり、体の状態に合わせてコントロールしやすいという利点もあります。

この“固さ”と“やわらかさ”のバランスを取る「環境のコントロール」、睡眠中に限らず起きている間にもできることがたくさん。例えば、足裏の環境。アスファルトの上を多く歩く日は「今日は低反発のインソールを入れていこう」「ゴムソールの靴を履いていこう」となりますし、毛足の長い絨毯の上で長く過ごす日は「ペロッとした革底の靴を履いてクッション性をセーブしよう」となるわけです。

肩関節や肩甲骨の環境は、ジャケットのサイズでコントロール。その日の筋肉コンディションで可動域が変化しやすいため、着心地のいいフィット感は違いますよね。だから私はジャケットを36と38の2サイズ用意していて、同じデザインをサイズ違いで持っているものも結構あるんですよ(笑)。

それから、お尻の環境。「今日はすごくお尻を使ったな、階段の上り下りが多かったし、筋肉を鍛える歩き方をしていたし」。そういう時はやっぱりお尻の筋肉が少し固くなっていますから、多少クッション性のある椅子で、お尻と椅子が一体化している感じを大切に座った方がいい。逆にお尻の筋肉をぜんぜん使わなくてムニムニしている、という時は硬い椅子に座らないとバランスが取れない、という具合です。お家の椅子をぜんぶ同じもので揃えている方もいらっしゃるけれど、私は別々派。材質や座面の硬さ、いろんなタイプの椅子が置いてあるのが好きなので、そういうお宅に伺うと「あ、わかってるこの人!」とうれしくなります。

頭、首、肩、腰、お尻、脚、そして足。その日の筋肉の状態を予測して、耳を澄まして、硬軟のバランスがちょうどよくなるよう「環境コントロール」を習慣づけていきましょう。私たちの体は、いつでも同じ状態ではありません。その差をできるだけ少なくして、強張りのないニュートラルな状態でいられるかどうか。そこがボディラインも立ち居振る舞いも美しい、“しなやか美人”への分かれ道です。