YAMADA TOMOMI WALKING STYLE

Essay エッセイ

Vol.66 骨盤を制すものは、美ボディを制す ~上下をしなやかに繋ぐ安定の要~

空気がしっとりとうるおって、緑のみずみずしさが目に心地いい梅雨は、私のいちばん好きな季節です。湿度が高いと重さやだるさを感じる方もいるようですが、反面、それは筋肉がゆるみやすいということでもあって、ストレッチをするのにピッタリなんです。この時季に体をのびのびと動かして、冷房との温度差に負けない体を作ってくださいね。

さて、夏本番に向けて「見返り美人」を目指すプロジェクトも後半戦。今回は「骨盤」の正しい位置、そして使い方についてお伝えします。まずは骨盤の現状についての確認から。Vol.63のチェックシートを振り返ってみましょう。当てはまる項目は、以下のとおりです。

  • 1. 歩いている自分の姿を見たとき、シルエットが揺れている
  • 4. 歩いているとき、手の甲が前を向いている
  • 5. 前から見たとき、お洋服の肩のトップの縫い目が見えている
  • 6. 肩こりがある
  • 7. お腹が出ている
  • 8. 生理用ナプキンが横モレする

はい、ほとんど全部ですね(笑)。でもこれ、すごく重要なことなんです。なぜなら、骨盤は上半身と下半身を繋ぐジョイントであり、重心を安定させる要でもあるから。骨盤の位置と使い方が正しければ、上半身と下半身も正しやすくなりますし、骨盤の位置が間違っていると、その影響は上半身と下半身全体に及びます。

例えばチェックシートの4から7。この4項目は上体が前重心に傾いていることの表れで、ほとんどの場合、一緒に骨盤も前傾(横から見たとき腰から上が前、腰が反ってお尻が後ろに出ている状態)しています。発端は骨盤と上半身、両方のケースがありますが、いずれにしても、良くも悪くも骨盤と上半身は連動するということです。

1と8の原因も、骨盤の向きです。重心が定まらないため、腰が不安定に揺れ動いてしまうんですね。1の「体の揺れ」は、多少の縦揺れに関してはOK。関節がクッションとしてきちんと働き、柔軟性があるということですから。でも、横揺れはNG。これは歩くとき、重心が外側になっているからで、脚の外側にお肉がつき、太くなってしまいます。

このように、姿勢とボディラインに大きな及ぼす骨盤。では、その位置を正すにはどうすればいいのでしょうか? その答えはとってもシンプル。このエッセイでも折に触れ(vol.2vol.7vol.17vol.32vol.45)お伝えしてきたので、覚えてらっしゃる方も多いと思います。そう、お尻の穴を真下に向けて骨盤を立て、その状態を意識する。それだけです。でも、たったそれだけで骨盤の安定感がぐっと増し、上に上半身をのせやすくなります。そして肩が開きやすくなり、頭を後ろに引きやすくなる。どうぞ実際に試してみてください。

ここで一番のポイントは、骨盤を立てると背筋が自然と働き出す、ということです。それを感じられたら、今度はおなかを上に引きのばすように意識してください。歩くときはその姿勢のまま、おへそから指4本下にある「丹田」を前に引っ張られるようなイメージで。椅子に座るときも基本は同じで、お尻の穴を真下、骨盤は座面に対して垂直になるよう立て、その上にまっすぐ上半身をのせてください。そうして「後ろ重心」になると、上半身の体重を背筋で支えられ、デスクワークの多い方は股関節と腰、肩にかかる負担がずいぶん軽くなるはずです。

ひとつ気をつけていただきたいのは、「骨盤を立てて意識する」といってもガッチリ固めるのではないということ。体の動きに合わせて柔軟に、しなやかに。常に真ん中を探りながら、安定する位置に骨盤を整える、という感じです。そうすると立つこと、歩くこと自体が背筋と腹斜筋(おなかのインナーマッスル)のエクササイズになりますから、背中の美しいS字ラインと自然に引き締まったウエストライン、両方が同時に叶うといううれしい結果がついてくるんです。

さらに、生理用ナプキンの横モレもこれで解消。骨盤が正しい位置に安定していればショーツもナプキンも動きにくいので、生徒さんには夜眠るとき以外、羽なしの小さなサイズしか使わないという方がたくさんいます。この話をするとみなさんびっくりされますけれど(笑)、重心の状態を確認する目安にもなりますから、骨盤を安定させられるようになったらぜひトライしてみてください。

さぁ、ここまできたら「見返り美人」になるまであと一歩。最後の仕上げとなる次回は「脚」についてお伝えします。骨盤を立て、上半身を後ろ重心にキープしながらお待ちくださいね!